「ミスがなくならない」「忘れ物が多い」など、仕事・プライベートともにさまざまなトラブルで悩んでしまうのがADHDの特徴です。
周りから「あいつは使えないやつ」と見られてしまうことも多く、自信を失う方も少なくありません。
【このような悩みを持つ方におすすめの記事】
・どんなに注意してもミスしてしまう…もしかして私はADHD?
・ADHDだとしたらどのように仕事をすればいい?
今回は、僕が持っているADHDの特徴を紹介しながら、ADHDが働くうえで大切にしたいポイントついて解説していきます。
目次
ADHDのつらい現実
大学を卒業して、最初に入った会社で行ったのは事務の基本となる電話対応でした。
その会社は建築会社で、主に資材の管理・販売をするほか、契約している職人さんを現場に派遣するという仲介業も行っています。
そのため、一般的な電話応対とは違い、主に工事現場で働く監督の方からの注文を受けるのがメインでした。
クレームの嵐
工事現場は、基本的に削岩機やコンプレッサーなどから発生する騒音が鳴り響いています。
そのため電話の内容が聞き取れないことも多く、「そんなこともわからないのか!」「一回で聞き取れよ!」と厳しい口調で叱られることも珍しくありませんでした。
また、仮に聞き取れたとしても、注文内容を聞きながらメモを取るというマルチタスクがまったくできなかったため、クレームを連発してしまう始末です。
周りの人に理解されない
・こんな新人見たことない!
・電話の内容を聞いてメモを取るだけなのにどうしてできないの!
定型発達の方から見れば、いくら聞き取りづらい環境とはいえ、単に「注文を聞いてメモを取る」だけのことなので、僕がなぜ失敗を繰り返すのかがわからないのも無理はありません。
そのため、入社して2ヶ月が経ったころ、先輩の一人からから匙を投げられ、それ以来自分の居場所はなくなりました。
結局クビになる
結局、その会社は試用期間の3ヶ月でクビになり(正しくは自主退職を促された)そこから1ヶ月ほど引きこもりの生活を送っていました。
・たった3ヶ月でクビになるなんて、私は社会不適合者だ…
・親に説明しないと…でもやっぱり怖い…
自信はなくなり、涙もかれるくらい泣いていましたが、親や祖母に電話をして事情を話したところ、意外にもスムーズに受け入れてくれて、ひとまず落ち着くことができました。
あのときほど、家族のありがたみを感じたことはありません。
高校生の先輩にバカにされる
長らく引きこもりの生活を送っていましたが、家族の叱咤激励もあり、どうにか抜け出して駅ビルの中にあるお寿司屋さんで働くようになりました。
しかし、そこでも口頭での指示が理解できずミスを連発していました。
・さっき指示したばかりなのに、なんで覚えていないんだ!
・お前、昨日も同じことしただろ!やる気あるのか!
僕自身、手を抜いている意識はまったくありません。
職場の上長の方だけでなく、6つも年が離れている高校生の先輩にもバカにされました。
働くことが怖くなる
必死に指示の内容をメモに取り覚えようとするのですが、そもそも満足にメモを取ることができません。
また、せっかく書いたメモもぐちゃぐちゃで、清書するのに苦労したことを覚えています。
この職場も2ヶ月ほどで辞めてしまい、働くこと自体に恐怖感を覚えるようになりました。
工夫・考え方・行動でしか未来は変えられない
そこからまた紆余曲折を経て別の会社に転職し、さらにそこから2回転職して今は電話対応や口頭での指示があまりない職場で働いています。
もちろんそれでもミスはあるので、誰よりも工夫しながら仕事を進めています。
・なるべくなマルチタスクではなくシングルタスクで仕事をする
・こまめに休憩を取って集中力を維持させる
・ミスを防ぐためにセルフチェックは欠かさない
それでも「注意欠陥」によるケアレスミスで悩まされており、やはり「仕事をするうえでの苦労はなくならないんだな」としみじみ感じています。
ただし、行動しないといつまでたっても現状維持のままですし、工夫によってある程度働きづらさは軽減できます。
もし自分の特徴と今の仕事や会社が合っていない場合、勇気を持って行動してみましょう。
なお、転職については以下の記事で詳しく解説していますので、お困りの方はこちらも併せて読んでみてください。
ADHDが心がけたい仕事術
大学を卒業して約10年ほど経った今でも、電話対応はほとんどできません。
また、先述のとおり指示を理解することもかなり苦手で、初めて行う仕事のときは、以下のような点に気をつけながら取り組むようにしています。
テキストベースのやり取りをお願いする
今の職場でも口頭での指示はありますが、どちらかといえばテキストベースの指示がメインです。
僕は耳からの情報よりも目から入る情報の方が処理しやすく、これは視覚優位と呼ばれています。
それでも複雑な指示や、あいまいな内容の場合には理解に時間がかかることも多くあります。
しかし、わからなければ再度読み返すことができるため、テキストベースの指示がメインになる職場を選ぶのが重要といえるでしょう。
ダメな自分を受け入れる
先輩や上司など、誰かに迷惑をかけてしまうと自分のことが嫌になってしまいますよね…
・提出物の誤字や脱字
・指示内容の認識違い
・仕事道具の忘れ物
作業自体には慣れてきてはいるものの、前述のとおり僕は注意欠陥多動障害であるため、上記のようなミスがなくなることはほとんどありません。
また、思考や考えがうまくまとまらず、物事を理解するスピードも遅いです。
このような状態では、直属の上司だけでははなく、多くの人をイライラさせてしまうようになるため、以下のことを忘れずに仕事を行うようにしています。
・要領が悪いことを認める
・素直に聞く
・実際に試してフィードバックをもらう
変なプライドは不要
なかには変なプライドやこだわりが邪魔をして、「人から聞く」ということが苦手になってしまう人も多いのではないでしょうか。
先述のとおり、僕は短期記憶がかなり苦手で要領も悪いため、的を得ない行動や回答をすることも少なくありません。
仕事をこなすためには、自分ができないことをきちんと受け入れて、素直に「わかりません、教えて下さい!」と伝えれば、よほど意地悪な人ではない限り教えてくれます。
変な意地を張らず、素直に教えを請うことが、スムーズに仕事を進めるコツだといえるでしょう。
ADHDがやるべき工夫
最後に、ADHDが取り組むべき工夫について解説します。
具体的には、以下の3つです。
・長所を伸ばすことに注力する
・具体的な長所を書き出す
・転職や副業で自分の居場所を作る
長所を伸ばすことに注力する
僕自身、弱点を克服するために時間と労力を使うことは、一概に悪いことではないとは思っているものの、長所を伸ばすことはそれ以上に大事と考えています。
最低限の社会生活が送れるようなスキルや能力を身につけるよう訓練し、その後はなるべく長所を伸ばして「欠点はあるけど職場には必要な人」になることが重要といえます。
具体的な長所を書き出す
自分の短所はわかりやすいのですが、長所は可視化させないと認識するのが難しいとされています。
・コツコツと続けていく継続力がある
・協調性があり、人の話を最後まで聞ける
・好きなことに対しては没頭できる
ADHDには、短所となるものがある一方、長所といえる特徴がたくさんあります。
そのような長所を活かせる仕事に就くのは、決して簡単なことではありません。
むしろ、短所が目立つ仕事の方が多いといえるので、先ほど述べたように短所の克服にも力を入れつつ自分の長所を伸ばしていくことが重要です。
転職や副業で自分の居場所を作る
転職をして自分に合う仕事に就くのはもちろん、副業に力を入れて自分の居場所を作る方も少なくありません。
会社で働くことがすべてではありませんし、「正社員で働かなきゃいけない」というこれまでの常識も徐々に薄れてきています。
なかなか難しいことも多いのですが、もし今仕事で悩んでいるという方は、そのような常識やしがらみから抜け出して、新しい道を探してみてはいかがでしょうか。
なお、転職について悩んでいる方は、以下の記事で具体的なやり方や考え方について詳しく解説していますので、よければぜひ読んでみてください。
悩みは多いけど、ADHDでも仕事はできる!
今回は、僕が持っているADHDの特徴・悩みと過去の実体験、ADHDが働くうえで大切にしたいポイントついて解説しました。
・短期記憶が苦手だと事務や飲食店での仕事は難しい
・できない自分を受け入れて、素直に「わかりません」と教えを請う
・短所よりも長所に目を向けて職場を探す
社会で生活していくのは簡単なことではありませんし、くじけてしまうことも少なくありません。
世間でいわれている「普通」に生きるのは難しいので、短所の克服は最低限にして、自分の長所を伸ばすことに力を入れてみてはいかがでしょうか。
僕自身も悩みながら日々のやるべきことに取り組んでいますので、一緒に少しずつ前に進んでいきましょう。
また、こちらの書籍も参考になりますので、よければチェックしてみてください。
今回もご覧いただきありがとうございました。
それではまた!