自分磨きのために新しい目標を立てている方も多いかと思いますが、これは案外難しいもので、「何から始めればいいの?」と悩んでしまうケースも少なくありません。
ただ漫然と目標を立てようとするよりも、目標を立てることで得られるメリットに目を向けてみると、よりやる気が出るようになるかもしれません。
今回は、飽き性で挫折しがちな発達障害の方に向けて、目標を立てることで得られるメリットと、目標を立てるときのコツについて解説します。
なぜ発達障害の方は「飽きっぽい」のか?
発達障害の方すべてが飽きっぽいのではなく、これは特にADHDの方に見られる特徴です。
ADHDの方は「集中力の欠如」という弱点を持っていることが多いため、仕事や趣味などを長く続けられず、途中で飽きてしまうことが多いのです。
また、ADHDの方が持つ「衝動性」もネックで、作業の途中でやめてしまうことも珍しくありません。
【飽きっぽいADHDの例】
・授業中、先生の話に集中できずに意識が逸れてしまう
・趣味で始めた筋トレも3日坊主で終わってしまう
ただし、裏を返せば「好奇心旺盛」ともいえるので、捉え方次第では長所にもなり得ます。
新しい目標を立て、それに向けて取り組むことで得られるメリット
「別に目標なんてなくてもいいんじゃない?」と思う方もいるかもしれませんが、具体的な目標を立てることによって、以下のようなメリットが得られます。
・充実した休日を送れる
・共感能力が高まる
充実した休日を送れる
「ついダラダラしてしまい、せっかくの休日を無為に過ごしてしまった」という経験は、誰しも一度くらいはあるのではないでしょうか。
心身共に疲れ切っている場合、まずは休むことを優先させなければいけませんが、無意識にダラダラ過ごすというのはなるべく避けたいものですよね。
そのようなときは、なるべく具体的な目標を作ることが重要です。
・○○冊読書する
・○○分散歩する
・ジムに行って身体を鍛える
・今までに行ったことがない場所に足を運ぶ
・一人旅に出る
・家族と一緒に出かける
上記ような目標があれば行動意欲が高まるので、貴重な休日を無駄に過ごしてしまうようなことが減るようになります。
また、「普段とは違う場所で読書する」など、いつもの行動と違うことをした場合、より満足度が高まるといわれています。
これは料理でも一緒で、今まで作ったことのないようなジャンルのレシピに挑戦するのも、同じ効果が得られるといわれています。
ほかにも、以下のような「自分にとって新しいこと」を始めると良いでしょう。
・今までとは違うヘアスタイルやメイクで外出する
・新しくオープンしたカフェに行ってみる
上記のような「新しいこと」に取り組み、「休日を無駄に過ごしてしまった」という失敗を減らしてみてはいかがでしょうか。
共感能力が高まる
新しい目標として海外旅行に行くと決めて実際に行動に移すと、道中や現地で多くの人と出会うことになります。
また新しい習い事を始めた場合、習い事の先生や仲間などたくさんの人とコミニュケーションを取る機会が増え、人付き合いで重要な共感能力が高まるといわれています。
共感能力は、日々の仕事はもちろん、プライベートの時間でも欠かせない大事なスキルのひとつで、以下のようなメリットが得られます
・相手に好印象を与えられる
・初対面の人でも比較的簡単に仲良くなれる
・営業職の場合、商談の成約率が高まり成績が上がる
・接客業の場合、クレーム対応がうまくなって余計なトラブルを回避できる
なお、旅の途中には、うまくいかないことや我慢しなくてはいけないことが多々出てきます。
天候の悪化で予定していたフライトが中止になったり、言葉が通じずトラブルに見舞われてしまったりするなど、例を挙げれば切りがありませんね。
そのたびにかんしゃくを起こしてしまうのは、大人としてみっともないうえに、基本的に一人で対処しなければなりませんので、トラブル対応能力を含む「総合的な人間力」も育まれていくことになるでしょう。
飽きっぽい発達障害の方が目標を立てるときに意識すること
何か目標を立てる際、いくつか意識すべきポイントがあります。
・普段と違う行動が求められる目標を立てる
・他人ではなく自分で決める
・最初は簡単に達成できるような目標を立てるようにする
途中で挫折しないためにも、ぜひ押さえておくようにしてください。
最初は簡単に達成できるような目標を立てるようにする
いきなり無茶な目標を立ててしまうのは好ましくありません。
途中で挫折してしまう可能性が高まるだけなので、まずは「自分にとって簡単にクリアできる目標」を立てましょう。
【読書の場合】
・毎日最低1ページは読む
・1ヶ月に1冊は読む
【資格取得の場合】
・毎日最低1問は解く
・1ヶ月に1冊問題集をやり遂げる
取り組んでいる途中、「これは難しいな…」と感じたときは目標の数字を下げてください。
最初は「取り組みを習慣化すること」が重要なので、無理ないように調整しましょう。
他人ではなく自分で決める
お客様からいただくクレームなど、日々の中で突発的に生じるトラブルによるストレスで困っている方も少なくありませんよね…
これは「目標の設定」でも同じで、なるべく「自分でコントロールしているという感覚」を持つことによってストレスを軽減できるといわれています。
コントローラビリティーの重要性
「自分でコントロールしている感覚」は、心理学の世界では「コントローラビリティー」という言葉で表現されます。
コントローラビリティーがある、ひいては自分で決められる裁量範囲が広がれば広がるほど、その物事に対するモチベーションや幸福度が高まるとされています。
たとえば苦手な上司から突然を仕事を振られた場合、「自分でコントロールできない」という気持ちが強まり、よりストレスが溜まるようになりますよね。
そのため新しいことにチャレンジするときも、「誰かに指示されたから」といった理由ではなく、「自分自身が本心でやりたい」と思えるものを選ぶことが大切です。
・スキルアップとして英語を勉強した方が良いと言われたから英会話スクールに通う
・「結婚しない人は問題がある!」みたいな価値観に煽られて婚活を始める
これだときっと長く続きませんよね…
人には向き・不向きがあり、たとえ人から勧められたとしても、それがその人にとって負担になるものなら長く続ける必要はありません。
自分自分自身に問いかけて、「これをやって何が得たいのか?」をゆっくりと考えてみてから取り組んでみてください。
なお、目標達成で大事なポイントは以下の記事でも解説しているので、ぜひチェックしてくださいね。
発達障害の特性を理解し、自分にとって無理のない目標を立てよう
今回は目標を立てることで得られるメリットと、目標を立てるときのコツについて解説しました。
さまざまなことを紹介しましたが、なかでも大事なポイントは以下の3つです。
・貴重な休日が充実する
・実際に行動に移すことで、コミュニケーション能力や共感能力が高まっていく
・コントローラビリティーを持てるような目標を立てる
新しい目標を立てるというのは、比較的優先順位が高いものではあるものの、なかなか考えがまとまらずうまくいかなくなってしまうことも少なくありません。
ただ、目標を立てると「少しだけ自分が変われるような気持ち」になりますよね。
もちろん、あまりにも高い目標を立てると挫折することになりかねませんが、ちょっとだけ背伸びをすれば届くような目標なら、きっと達成できるかと思います。
なお、目標の立て方・取り組み方についてはこちらの本も参考になりますので、もしよければチェックしてみてくださいね。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
それではまた!