会社員はもう無理…フリーランスなら自由に生きていけるのかな?
発達障害の方は、空気が読めない、うっかりミスが多いなど、組織で働くうえで短所が目立ちがちで自信を失いがちです。
会社員ではない働き方、たとえば起業家やフリーランスなどに憧れを持つ方もおいのですが、このキャリアチェンジは果たして良いものなんでしょうか?
今回は、会社員に向いていないと悩んでいる発達障害さんに向けて、今後のキャリアの組み立て方について解説します。
フリーランスへのキャリアチェンジのメリット・デメリットなどにも触れていますので、よければぜひチェックしてみてください。
発達障害の会社勤めで気をつけるべきこと
発達障害(ADHD・ASD・LD)の方は、その特性から定型発達の方と比べ、働くうえでマイナスともいえる短所が目立ちがちです。
・書類の作成で誤字があるのに気づかず提出する
・お世辞や皮肉をそのまま受け取りぎこちない空気になる
・遅刻が多く、周りの人たちに迷惑をかける
たまにやらかすくらいなら多めに見てくれるかもしれませんが、発達障害の方は毎日のように上記のようなミスをやってしまうので、どうしても悪印象を与えてしまいます。
このような日々を送っているうちに、周りの態度も冷たくなっていき、疎外感や劣等感を覚えるようになる方も珍しくありません。
自分だけの問題であればまだ良いものの、それが「みんなに迷惑がかかる」ということになれば話は別です。
会社員に向いていないと思うのも、決して大袈裟ではないことなのです。
会社員を辞めれば解決される?
発達障害の特性は生まれ持ってのことがほとんどで、怪我の治療のように「完治」することはほぼありません。
自分の特性に合わせて工夫を行い、欠点が目立たなくなるようにして生きていくことが重要です。
そのため、「ミスが多い」「空気が読めない」などの特性が強く出ている人の場合、会社を辞めて環境を変えれば多少目立たなくなるかもしれません。
一方、以下のような特性の場合、環境を変えても生きづらさが変わらないことが多いため注意が必要です。
・忘れ物が多い
・締切を守るのが苦手
・余計な一言を言って相手を不快にさせてしまう
上記のような方は、会社員でいるうちに何らかの工夫をしてある程度改善させる必要があります。
・鞄の中に入れるものを固定化する
・イレギュラーで必要になるものは前日に玄関のドアにかけておく
・大事な予定はGoogleカレンダーに入れてリマインドしてもらう
・会話のときは聞き役に徹する
日々の工夫で改善が見られないようなときは、心療内科で発達障害者向けの薬を処方してもらいましょう。
ただし、薬の効果は個人差があり、症状が軽くなる方もいればさほど変わらないという方もいます。
私自身も「アトモキセチン」という薬を使っていますが、「ちょっとは良くなったかな?」というのが正直なところで、一種のお守りのような感じで使っています。
なお、この「アトモキセチン」の効果・効能は以下のようになります。
・脳内の神経細胞の間で情報を伝える神経伝達物質を調節する
・不注意や多動などの症状を改善する
主に注意欠陥/多動性障害(ADHD)の治療に用いられます。
症状が改善の方向に向かい、自分のストレスが「周りからのプレッシャー」や「疎外感」など「組織からくるもの」であればフリーランスとして働くのも有効といえるでしょう。
会社員を辞めてフリーランスになるメリット
会社員からフリーランスになった場合、当然上司や先輩はいなくなり、パワハラや不当な指示などがなくなります。
周りとの比較もされなくなり、過度な劣等感に悩むこともなくなるでしょう。
上記2点の問題がなくなるだけでも精神的な辛さは軽くなるため、このことからも発達障害の方にとっていかに会社勤めが厳しいものなのかがわかります。
ほかにも、以下のようなメリットが挙げられます。
・いつどこで働いてもOK
・体調が悪いときは気兼ねなく休める
・自分の裁量で仕事の量を調整できる
発達障害の方は、日によって体調が大きく変わることも珍しくありません。
「昨日は問題なかったのに今日は全然ダメ…」というケースも多く、毎日決まった場所に行って働くのが辛いときも多々あります。
その点、フリーランスであれば、体調が悪いときは休み、回復してきたらまた仕事をするということが楽に行えます。
会社で働くと、その都度上司に休暇の連絡を入れなければならず、「申し訳ない」「こんな自分はダメなやつ」と自分を責めてしまうことも少なくありません。
正直なところ、私はこの「休みの連絡を入れる」だけで1日のエネルギーを使うような感覚になります…
また、仕事の裁量はすべて自分が決めるため、上司から「明日までにやっといて」みたいなをことを言われることもありません。
仕事のストレスは「裁量権の有無」によって大きく左右されるといわれています。
ベンチャー企業の社長が月100時間以上のハードワークをこなせるのは裁量権の大きさにあるともされています。
一方、たとえ定時に帰れるホワイト企業であっても、一から十まで上司の言われたとおりの仕事しかできない場合、大きな苦痛を受ける可能性があります。
もちろん、「裁量権の多さ」がストレスになる方もいるため、一概にはいえません。
しかし、「断るのが苦手」「日頃のミスを挽回しようとして頑張りすぎてしまう」という方にとっては大きな魅力といえるでしょう。
会社員を辞めてフリーランスになることのデメリット
フリーランスになることで組織で働くうえでのストレスはなくなりますが、以下のようなデメリットが発生します。
・定期収入がなくなる
・社会保険の負担額が上がる
・社会的な信用が大きく落ちる
会社員の場合、自分の労働力の対価として給料をもらいます。
フルタイムの方であれば1日8時間、場合によってはそれ以上の時間を仕事に宛て、決まった額のお金を受け取ります。
このとき、何か大きなトラブルがない限り支払われるため、安定性という点に関してはフリーランスの比ではありません。
フリーランスの収入事情
フリーランスの場合、案件を受注して仕事をすることになりますが、必ず受注できるとは限りません。
自分のスペックや経歴などを判断されれば契約できますが、そうでなければ「今回はご縁がなかったことで…」となり、仕事をしたくても仕事ができなくなります。
仕事がなければ当然報酬も得られず、新しいクライアントを探さなければなりません。
また、無事に契約を結び、仕事をして納品しても、報酬が口座に振り込まれるのはおよそ1〜2ヶ月先になることが多いです。
お金のやりくりに困ることになってしまうので、貯金を切り崩して生活する方も珍しくないのです。
また、お金の面に関していえば、社会保険などの支払額が上がるのもデメリットです。
会社員の方は、通常保険代の半分は会社が支払ってくれますが、フリーランスになると国民健康保険に入らなければならず、基本は全額自己負担です。
前に勤めていた会社の社会保険に加入すること(任意加入)もできますが、この場合にも会社と折半していた分も支払わなければならなくなるため、会社で支払っていた保険料の倍以上支払わなければならないケースもあります。
さらに、任意加入も最大2年間の期限があるため注意が必要です。
パートナー・家族との相談は必須
そして、社会的信用が落ちるのも困りものです。
クレジットカードを作るにも、引越しをするにも審査に通りづらくなるのは心が折れてしまうかもしれません。
また、パートナーや家族がいる方の場合、フリーランスという言葉だけで過剰反応されてしまうケースも多いです。
・フリーランスって不安定なんでしょ?これからどうやって生活していくの?
・せっかく名のある会社に入ったのに、どうしてそれを捨てるようなことをするんだ!
これらはほぼ正しいことで、言われても仕方のないことです。
そのため、フリーランスになる前には一度相談し、相手の様子をチェックする必要があります。
もちろん、すべての人が毛嫌いしているわけではなく、フリーランスへの挑戦に理解のある人もいます。
きちんと説明すればきっと応援してくれるはずなので、余計なトラブルを起こさないよう、丁寧に自分の気持ちを伝えるようにしてださい。
なお、キャリアについては以下の記事でも解説していますので、こちらも併せてチェックしてみてください。
会社を辞めてフリーランスになるには事前準備が鍵
今回は、会社員に向いていないと悩んでいる発達障害さんに向けて、今後のキャリアの組み立て方について解説しました。
・会社員が辛いならフリーランスとして生きていくのもOK
・収入面や信用面で困ることが多いので、事前に準備しておく
・パートナーや家族の承諾を得ることが大事
会社員・フリーランス双方にメリットとデメリットがあります。
しかし、発達障害の方であれば劣等感・疎外感などのデメリットが目立ち、場合によっては心身に支障をきたしてしまうことも珍しくありません。
会社を辞めるには大きな勇気が必要になりますが、それで自分の健康が整うなら検討する価値はあるといえます。
もちろん、いきなり会社を辞めると周りにも迷惑がかかるうえに、今後の生活も不安になってしまうので、お悩みの方は十分に準備をしてから行動に移すようにしましょう。
これからのキャリアについて真剣に悩む人たちを心から応援しています。
なお、以下の本も参考になりますので、よければこちらもチェックしてみてください。
今回もご覧いただきありがとうございました。
それではまた!