何度も確認したはずなのに、どうしてミスをするんだろう…
仕事中、何度も確認したのにもかかわらず、見落としや漏れがあるとへこんでしまいますよね…
ADHDの方はそもそも注意力が散漫であることがほとんどで、通常なら考えられないようなミスを何度もやらかして周囲を凍り付かせてしまうことも珍しくありません。
今回は、仕事のミスを減らすために活用できる「思考法」・「メモ術」・「仕事の取り組み方」について解説していきますので、仕事のミスを減らしたいと考えている方は参考にしてみてください。
ミスが多いのは想定漏れが起きているから
上司から「もっとよく考えろ!」「それくらい誰だって思いつくだろ!」など、思考の抜け漏れのことで怒られている方も多いのではないでしょうか?
実際、頭を抱えて考えてもイマイチピンとこないことも多く、漠然とした状態で仕事に取りかかってしまうことも少なくありません。
頭で悩むだけでは腑に落ちない
仕事だけではなく、なにか物事を整理して考えられるようになるためには、物事を構造化する力をつける必要があります。
この『構造化する力』をつけるためには、以下の2つの作業が有効とされています。
・情報を洗い出す
・階層構造で整理する
少し小難しく聞こえてしまいますが、ここでは簡単に料理を例にして解説します。
レシピ通りに料理を作るイメージで仕事を進める
たとえば野菜炒めを作るときは、以下のような手順で進めていきますよね。
・材料を購入する
・まな板に野菜を置く
・野菜を切る
・フライパンで炒める
特に問題がないように見えますが、これでは野菜の種類や火にかける時間などがわからなくなり、料理の途中でミスが起こるおそれがあります。
そのため、野菜炒めを作る場合には以下のようなメモが必要です。
材料を揃える
①豚肉
②ニンジン
③キャベツ
④ニンニク
⑤シメジ
野菜を切る
①豚肉はざく切りの一口大
②ニンジンはいちょう切り
③キャベツ、ニンニク、シメジはざく切りなど
主な流れ
ⅰまず油を引き、ニンニクを炒める
ⅱ火が通りづらいニンジンを入れる
ⅲ豚肉を入れる
ⅳ火が通りやすいキャベツ、シメジは最後の方に入れる
ⅴ塩コショウで味付けをして完成
一つひとつの工程をこまかく書いていくと、作業の抜け漏れが少なくなります。
あいまいな指示を理解するというのが苦手という方は、なるべく細部までわかるような形にしてやるべきことを整理してみてくださいね。
ミスが多いのは聴覚優位の特徴を活かしていないから
ADHDの場合、聴覚優位ではなく視覚優位であることが多くあります。
聴覚優位とは、耳から聞いた情報の処理に長けている人のことを指す言葉で、視覚優位は目から入った情報を処理することが得意の人のことを指します。
・聴覚優位→口頭での指示に強い
・視覚優位→メモや資料を読む力が高い
飲食店やコールセンターなどで働くのが苦手なのは、この視覚優位が関係しているといわれています。
指示の内容は文章に落とし込む
視覚優位の特徴を活かし、仕事の指示を文章に落とし込むことで、スムーズに理解できるようになります。
僕も実際に口頭での指示が非常に苦手なので、テキストベースの指示を送ってもらうよう、上司や先輩たちにお願いしています。
そのようなときは、伝えられた指示をその場でノートに書き、書きながら復唱して頭にインプットすることが重要です。
メモの取り方も工夫する
また、メモは端的に書くことを意識しましょう。
・指示の趣旨
・目標や納期、打ち合わせの日付や場所に関する具体的な情報
状況によってはほかにも書かなければなりませんが、混乱してしまうことも多いので、僕は上記2点だけは必ず押さえるよう心がけています。
しかし、メモを取ることも難しい場合、そのときは必死に頭に叩き込まなければならず、メモがぐちゃぐちゃになってしまうことも少なくありません。
下書きの後は清書する
メモを書いた後は、清書をするためにあらためてEvernoteなどのメモアプリに記録します。
手書きのメモ帳は紛失してしまうので、記録が確実に残るアプリではないと落ち着きません。
文章に残す作業は、量によっては楽ではなく、時間と手間がかかりますが、ミスを防ぐためには必要な作業なので、口頭での指示に困っている方は参考にしてみてくださいね。
なお、ケアレスミスの対策については以下の記事でも解説していますので、こちらも併せてチェックしてみてください。
ミスが多い方は具体的な傾向を知る
締め切りまで時間がない、お客さんからの注文が細かいなど、普段ではあまり見られないシーンで仕事を行う場合、ミスの確率が高くなります。
特に「時間がない」という焦りは人の生産性を下げる大きな要因で、焦れば焦るほど負のスパイラルに陥ってしまいます。
①「このままじゃ間に合わない!」という思い込みによる焦りが発生する
②焦ることによって余計な力が入り、頭の回転が鈍るうえにケアレスミスが増える
③仕事が進まないので、余計に「時間がない!」と焦ってしまう
このように、時間に追われることは、想像以上に人の仕事を遅くしてしまうので注意が必要です。
時間にゆとりを持って仕事を進める
突発的なトラブルが発生したときは仕方がないものの、特にそのようなことがなければ締め切りに余裕を持って仕事に取り組むのがベストです。
しかし、物事の優先順位をつけることが苦手なADHDの場合、途中で計画が破綻してしまうことも珍しくありません。
僕自身、計画を作るのが苦手で、行き当たりばったりで仕事をすることも多く、そのため上司から「ちゃんと間に合うの?」と発破をかけられてしまうことも少なくありません。
自分の身を守る2つのポイント
ミスを防ぐために、「スケジュール的に無理な仕事はすぐにOKしない」「自分の作業ペースを把握しておく」の2点を心がけて仕事に取り組むことが重要です。
たとえば、もしスケジュールがきつい場合、すぐに「やります!」と答えるのではなく「この仕事をやるとほかのBという仕事が進まなくなるのですが、それでもよろしいでしょうか?」と一言断りを入れています。
場合によっては勇気を持って断ることも必要ですが、それができないケースも多いので、上記にように「AはできるけどBは厳しい」と具体的に自分の状況を伝えることが重要です。
体調不良のときの対策も立てておく
また、人手不足などの理由により、体調が優れない中で仕事を行うことも多いので、「不調なときの作業ペースをベースに計画を立てる」ことも重要な作業と言えます。
たとえば、「普段なら1時間くらいで終わるけど、体調が悪いときはだいたい1.5時間で終わる」など、常に悪いときを想定し、その時間を目安にスケジュールを立てるといった具合です。
しかし、あまりにも遅い時間を想定すると、上司から「その仕事に1.5時間もかかるの?サボってるでしょ?」と疑われる可能性もあるので、所用時間を伝えるときは「体調が良いときにかかる時間+1〜2割」を目安にすると良いでしょう。
ゆとりを持った作業時間を伝えることは、先ほどご紹介した「無駄な焦り」の削減にもつながるので、ケアレスミスの削減のほか、作業時間の短縮のためにも実践してみてください。
無理のない工夫でやらかしがちなミスを防ごう
今回は、仕事のミスを減らすために活用できる「思考法」・「メモ術」・「仕事の取り組み方」について解説しました。
・物事の細部まで考えて、手順を一つひとつ整理していく構造化する力をつける
・視覚優位の特徴を活かし、口頭での指示は文章に落とし込む
・無理な要求は即決しない
・仕事にかかる時間に余裕を持たせて報告する
口頭ベースの指示はすぐに忘れてしまうけど、テキストベースの指示は覚えられるという方はとても多いです。
また、ADHDの方は頭の中にあるアイディアをまとめることも苦手なので、「文章に残す」のは大事な作業といえます。
職種や業種によって難しいことも多いですが、やはり視覚優位の人が口頭での指示にスムーズに対応するのは非常に難しいため、「すいません!できればメールかチャットでお願いします!」と伝えるなど、自分にとって無理のない範囲で上司の方に相談することをおすすめします。
また、こちらの書籍も参考になりますので、興味をお持ちの方はぜひチェックしてみてください。
今回もご覧いただきありがとうございました。
それではまた!