仕事や育児、部下の指導や相続問題など、現在やるべきこと・やらなければいけないことが増えすぎてがんじがらめになっている方も多いのではないでしょうか。
頭がいっぱいになるとストレスが溜まり体調不良になってしまう可能性が高まるので、お困りの方は一度ノートに自分の気持ちを書き出してみるのがおすすめです。
【本記事はこのような悩みを持つ方におすすめ】
・仕事や育児で休む時間が取れない…このストレスはいったい誰に吐き出せばいいんだろう…
・悩みや愚痴を聞いてもらいたいけど、身近に相談できる人がいない…
今回は、ストレスケアに役立つ「エクスプレッシングライティング」と、自身の記録を取る意味・効果について解説していきますので、興味をお持ちの方はぜひチェックしてみてください。
目次
エクスプレッシブライティングって何?
「エクスプレッシブライティング」は、自分の考えていることをそのまま紙に書き出し、ストレスや不安、悩みなどを緩和するという認知行動療法のひとつです。
他人には言えないような素直な気持ちをすべて紙に書き出すことで、今自分が抱えているネガティブな気持ちがやわらぎ、「これから何をすべきか?」を考えられるようになります。
有名な精神科・メンタルクリニックでも多数採用されており、うつ病や適応障害などさまざまな精神疾患を抱える方の治療に使われています。
エクスプレッシブライティングを行うことで得られる主なメリット
エクスプレッシブライティングを行うことによって、主に以下のようなメリットが得られるとされています。
【エクスプレッシブライティングを行うことで得られる主なメリット】
・メンタルの安定
・脳機能の改善
・レジリエンスの向上
メンタルの安定
先述したように、エクスプレッシブライティングを行うことで「メンタル面での改善」が図れます。
自身の悩みを外に出すことで今まで抱えていた「モヤモヤ」が減り、「スッキリした」「クヨクヨしなくなった」と感じる方が多くいらっしゃいます。
また、副次的に以下のようなメリットがあるのもうれしいポイントです。
【メンタル面が安定することで得られる主なメリット】
・幸福感が得られる
・ネガティブ思考・感情にとらわれなくなる
上記2つは僕たちの悩みの根本原因ともなり得るので、エクスプレッシブライティングを活用しない手はないといえるでしょう。
脳機能の改善
自分の気持ちを紙に書き出す行為は、メンタルの改善に役立つというだけではなく、「思い出す力の向上」にもつながります。
普段思っていることを紙に書くことで脳の「ワーキングメモリ」の機能が向上し、自分にとって大切な記憶を長期にわたって定着させることが可能になるためです。
また、ADHDならではの弱点をカバーできるのもうれしいポイントです。
【ADHDが持っている弱点の例】
・忘れ物が多い
・口頭での指示が苦手
「聴覚優位(耳から覚えることが得意な人)」の方も一定数存在しますが、僕のような「視覚優位(目から入った情報を処理するのが得意」の方の場合、耳から入った情報はすぐに忘れてしまう可能性が高いです。
視覚優位の方は、少々手間と時間がかかりますが「紙に書いて覚える」ということを習慣化すると良いでしょう。
レジリエンスの向上
エクスプレッシライティングには、「レジリエンス(逆境を跳ね除ける力)」の向上効果もあるとされています。
テキサス大学オースティン校の社会心理学者社会心理学者ジェームズ・ペネベーカーの研究では、「トラウマ」を抱えた方におおよそ6週間エクスプレッシブライティングをしてもらったそうです。
実験後に検査をしたところ、「レジリエンスの向上が確認できた」と結論付けています。
【参考】エルゼビア「トラウマに対する回復力を高める表現力豊かなライティング: 臨床実現可能性試験」
僕も含め、今を生きる現代人は多くのストレスを抱えており、なかには以下のようなトラウマを持っている方も珍しくありません。
【トラウマの例】
・上司(40〜50代の男性)に苦しめられ、いつのまにかミドル世代の男性すべての方に苦手意識を持ってしまっていた
・小学生のときに放し飼いの犬に襲われ、それ以降犬全般が苦手になってしまった
・両親から虐待され、大人の人全員が恐怖の対象になってしまった
トラウマの程度は人によって異なるので、もし「思い出すと気分が悪くなる」「涙があふれてくる」ほどのものなら専門家の方に診てもらうことをおすすめします。
ただし、「ちょっとつらいけど大丈夫」程度のトラウマなら、エクスプレッシブライティングをしてつらい気持ちを吐き出してみると良いでしょう。
記録を取る意味・凄さとは?
エクスプレッシブライティングは「自分の気持ちを紙に書き出す」作業です。
そのほかにも、ダイエットや勉強時間など、自身のやっていることの「記録」を取るために紙に書き出すことも多いでしょう。
記録を取ることで以下のような効果が見込めるため、気になる方はエクスプレッシブライティングと併せて実践してみてください。
【記録を取ることで得られる主なメリット】
・自己コントロール能力が向上する
・目標達成への期間が短くなる
自己コントロール能力が向上する
自分の気持ちや今日起きた出来事などを記すことにより、自身の行動・生活習慣などの「モニタリング」が叶います。
たとえば、ダイエットであれば体重や食事量、また仕事であれば目標達成までの道のりや成果など、自分の内面があらゆる角度から明らかになっていきます。
正直なところ、僕は昔休日についダラダラと寝てしまい、「気づいたら夕方だった」ということも少なくありませんでした…
そのような失敗をノートに書くことで、「次こそ失敗しないようにしよう!」と自分を奮起させることが可能になるので、自己コントロール力をつけるためにも記録を取ることは大切といえるでしょう。
目標達成への期間が短くなる
自身の目標を達成するために、それが叶うような行動を習慣にしようと励む方は決して少なくありません。
このとき単に行動するよりも、メモ帳や手帳などに記録した方がより早く必要な行動を習慣化することができるとされています。
たとえば、自分の手帳を日記帳のように使い、以下のように日々の活動を記録に残してみましょう。
【営業職の方の場合】
・午前中、1社の顧客に断られた
・15時に1件契約が取れた
・18時、会社に戻ってテレアポを行い、1件のアポを獲得する
・目標まで残り〇〇万円、今週中に資料をひとつ完成させる
【事務職の方の場合】
・午前中、上司から頼まれていた資料を作成して提出する
・13時からは請求書のチェック、15時からは他部署のマネージャーとミーティングをする
・上司に新たな資料を作るよう指示されたため、既存のスケジュールを組み直す
上記のように記録に残すとモチベーションが維持され、より目標達成に向けて行動できるようになります。
そして記録が習慣になると、自分自身を俯瞰で見れるようになれるのもポイントのひとつです。
【実際に見えてくることの例】
・これまでやってきたことの内容
・目標までの距離と現在位置
・目標達成への最短距離
仮に記録を取らないでいると、現在位置やゴールまでの道のりがわからなくなり、今後取るべきアクションができなくなってしまう可能性があります。
現在地がわからず地図もぐちゃぐちゃでは、どんなに優秀な方でも目的地にたどり着くことはできないため、常に俯瞰で見れるよう、自身の記録を取り続けてみてください。
「エクスプレッシブライティング」「記録」の2つを習慣にしよう
今回は、ストレスケアに役立つ「エクスプレッシングライティング」のほか、自身の記録を取る意味・効果について解説しました。
・エクスプレッシングライティングはうつ病や適応障害の治療にも使われる効果的な認知行動療法のひとつ
・記録を取ることで自己コントロール能力がアップする
・俯瞰で見ることができ、自身の目標達成につながる
今から記録を取り続け、そして未来の自分が見れば、きっと以下のような感想を持つはずです。
【未来の自分が思うことの例】
・昔はこんなことで悩んでいたんだ…
・だけど今思えばたいしたことないかも…
僕自身、適応障害で苦しんでいた当時は消えてなくなってしまいたいほどつらかったです。
また20代のころは、パワハラ上司の存在に怯え、生きる意味・働く理由を見出すことができなくなってしまったこともありました。
しかし、今こうしてどうにか生きていられているので、もし過去の自分に会えるのなら、「つらいかもしれないけど良い経験になるから諦めないで」と伝えたいです。
本記事で紹介した「エクスプレッシブライティングの重要性」「記録のすごさ」などに共感してもらえた方は、ぜひ一度自身の記録を手帳やメモ帳などに記してみることをおすすめします。
上記の書籍も参考になりますので、よければチェックしてみてください。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
それではまた!