【発達障害者の葛藤】苦手の克服か、それとも得意を伸ばすかの判断基準

自分にとって苦手と感じるものを克服することは、年齢・性別問わずどんな人にとっても非常に大変な作業となるでしょう。

 

最近は「苦手なことを克服するのはコスパが悪いから、その分自分の長所を伸ばそう」というムーブが強いものの、やはり「苦手のこと」と向き合う瞬間をゼロにするのは難しく、それなりに対処しないと周りからうとまれてしまう可能性があるため注意が必要です。

 

【本記事はこのような悩みを持っている方におすすめ】

・会社では「すべてそつなくできる人」が評価されている…早いうちに自分の弱点を克服しないとダメかな?

・長所とか良いところがあっても何も言われないのに、弱点や苦手なことが引き金となって発生するミスには容赦なくダメ出しされる…

 

今回は、苦手を克服する必要性・リソースの配分について解説していきますので、興味をお持ちの方は参考にしてみてください。

 

なぜ苦手を克服する必要があるのか

多くの職場・学校では、どんなことでもそつなくこなす人、または平均点を取る人を評価する傾向にあります。

 

一方、苦手なことが多い人や自身の能力にでこぼこがある人は、何かと敬遠されてしまうことが少なくありません。

 

その理由は、主に以下の2つとされています。

 

【能力にでこぼこがある人がやっかまれてしまう主な理由】

・「求められる力」が多すぎるから

・多くの人は長所よりも短所に目が行きがちだから

 

「求められる力」が多すぎるから

学校や職場でうまく立ち回るには、勉強・仕事で使う力だけでは難しいとされています。

 

【学校や職場で必要となる能力の例】

・時間通りに行動する力

・周りの人とトラブルを起こすことなく会話できる力

・困ったときに相談できる力

・最低でも平均点を取れるくらいの成績を残せる力

 

仮に勉強・仕事の成績が良かったとしても、社会性が乏しく周りの人に迷惑をかけてしまうことが多い人はそのうち仲間外れにされてしまうおそれがあります。

 

逆に、時間厳守で行動でき、さらに人当たりが良く誰とでも仲良くできる性格の持ち主であっても、勉強・仕事の成績がさっぱりダメでは「留年・リストラ」といった結果につながってしまうでしょう。

 

それなりに社会性があり、ほどほどの成績を残せるようなオールラウンダーの方でなければ生きづらさを覚えてしまうことになるかもしれません。

 

多くの人は長所よりも短所に目が行きがちだから

特に意識しているわけではないものの、「何となく長所よりも短所に目が行きがちなんだよね」という方は、決して少なくありません。

 

これは、「ネガティビティバイアス」の影響があるためだといわれています。

 

ネガティビティバイアスの要旨は、主に以下のとおりです。

 

【ネガティビティバイアスの要旨】

・人は進化の過程から危険を回避するように頭に刻まれていて、ポジティブな情報(長所)よりもネガティブな情報(短所)に注意が向きやすい

・自身の記憶にも残りやすいほか、他人のネガティブ要素(悪かったこと・ミスをしたことなど)も気になってしまう

 

 

ネガティビティバイアスは、ご先祖様の代から脈拍と受け継がれてきている「人の本能」のようなものなので、上書きするのは容易ではありません。

 

そのため、つい無意識に「あの人は◯◯が苦手なんだな」「あの人また◯◯して恥ずかしくないのかな」「この人の◯◯というクセ、本当に嫌だな」など他者の苦手が目についてしまうのです。

 

苦手の克服に力を入れるべき主なシーン

先述したように、あまりにも自身の苦手が目立ってしまう状況・環境は好ましくありません。

 

以下のようなケースでは、「長所を伸ばすための時間<苦手を克服するための時間」という時間配分に切り替えた方が良いといえるでしょう。

 

【苦手の克服に力を入れるべき主なシーン】

・自分のキャリアにとって必要な場合

・苦手の克服が実現可能な場合

 

ただし、自分の特性上、改善が非常に厳しいケースも少なくありません。

 

冷静に見極めたうえで改善に取り組むかどうか決める必要があるので、じっくりと自己分析してから今後の行動について考えるようにしてくださいね。

 

自分のキャリアにとって必要な場合

自分のキャリアにとって「どうしても改善しないといけない」と思う場合、苦手の克服に力を入れるべきといえます。

 

【キャリア別に求められる能力】

①営業職…コミュニケーション能力、課題解決能力など

②経理職…簿記の資格、Excelの操作に必要な知識、タイピングスキルなど

③外資系企業、海外勤務の部署…TOEICなどの英語力、適応力など

 

上記はあくまでも一例で、そのほかにもさまざまな力が必要になります。

 

自分の努力によって課題解決がかなう場合、自身の苦手の克服に力を入れることをおすすめします。

 

苦手の克服が実現可能な場合

「苦手の克服が実現可能」なケースは、主に以下3つがそろったときだと考えられます。

 

【苦手の克服が実現可能となるための3要素】

・具体的な解決策がある

・実行の難易度が低い

・自身の特性にあまりにも反していない

 

特に3つ目の「自身の特性にあまりにも反していない」が重要です。

 

たとえば、ADHDの方がケアレスミスをなくそうとするのは非常に困難であり、これを実現するのはほぼ不可能とされています。

 

このような場合、苦手を克服するのではなく「目立たなくする工夫」を行う方が賢明といえるでしょう。

 

苦手の克服に必要なティップス・考え方

自身の苦手を克服するのは、発達障害の方に限らず定型発達者でも難しいこととされています。

 

最後に、苦手の克服に役立つティップス・考え方について解説していきますので、「やってやろう!」と考えている方は参考にしてみてください。

 

【苦手の克服に必要なティップス・考え方】

・苦手の克服についての解像度を上げる

・どんなときも「完璧」を求めない

 

苦手の克服についての解像度を高める

苦手の克服についての解像度を高めれば高めるほど自身の目標が達成されやすいといわれています。

 

解像度を高めるには、苦手を克服した後にしたいこと(願望や想像など)を、「手触り感」を持てるところまで落とし込むことが重要です。

 

【「手触り感」を持つためのイメージの例】

・今の職場で認められて出世している

・ヘッドハンターの目に留まり転職する

・将来的に独立して組織に属さずに働いている

 

ただ何となく苦手の克服に努めるのも悪くはありませんが、途中で「何でこんな大変なことをしているんだっけ?」「別に苦手なままでもいいんのでは?」と挫折してしまうことも少なくないため注意が必要です。

 

「苦手を克服して何をしたいのか、何を得たいのか?」を明確にしておくと今後のモチベーションの維持が容易になるため、「正直まだわからない」という方は一度時間を取って考えるようにしてみてください。

 

どんなときも「完璧」を求めず淡々と取り組む

苦手の克服のほか、自分にとって大事な夢や目標がある場合、完璧を求めず淡々と取り組むことが重要です。

 

【完璧を求めて行動する主なデメリット】

・挫折の可能性が高まる

・自己肯定感が低くなる

 

最初から完璧を求めて行動する方は、「こんなに努力しているのに何で結果が出ないんだろう…」と落ち込む可能性が高く、途中で挫折するケースが少なくありません。

 

一方、完璧を求めず「とりあえずやってみよう」と思える方は、自分の期待値がそこまで高くないので、たとえちょっとしか前進しなくても「私、今日はよくやったな!」と自分を褒めることが容易に行えます。

 

目標に向かって着実に前進できるほか、目標達成で重要になる「自己肯定感の維持」も叶えられるので、最初から完璧を求めず「まずは手をつける」という「着手主義」で取り組むことをおすすめします。

 

苦手を克服するかどうかは自分の特性・環境・将来の3つを考えてから決めよう

今回は、苦手を克服する必要性・リソースの配分について解説しました。

 

・組織で生きるうえでは苦手を克服することを求められるケースが多々ある

・なかには克服できない苦手もあることを押さえておく

・どうしても克服したい場合、「手触り感」を持てるくらい苦手克服後のイメージを膨らませておく

 

僕はADHDの特性を持っており、「口頭で行われる複雑で長い指示」「電話応対などのマルチタスク」が苦手だと感じています。

 

これまで多くの労力を費やし克服しようと努力してきましたが、その努力はまったく実らず今でも克服できずに苦しんでいます。

 

苦手を克服するのではなく「目立たなくする工夫を行う」のも立派な戦略のひとつなので、「全然結果が出ないな…」とお困りの方は、一度今後の取り組みについてじっくりと考えてみることをおすすめします。

 

 

 


 

 



 


 

上記の書籍も参考になりますので、ぜひ一度チェックしてみてください。

 

今回もご覧いただきありがとうございました。

 

それではまた!

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