上司から言われた小言や、先輩から言われた重箱の隅をつつくような嫌味などのネガティブな言葉は、知らず知らずのうちに僕たちの頭の中にインプットされていきます。
人によってはメンタルに支障をきたし、最終的には会社を辞めざるを得なくなってしまうため、僕は普段から「エクスプレッシブライティング」を行っています。
【本記事はこのような悩みを抱いている方におすすめ】
・上司だから理不尽な物言いにも我慢してるけど、もう勘弁してほしい…
・何か手軽にリフレッシュできる方法はないの…？
今回は、エクスプレッシブライティングの具体的な方法・効果などについて解説していきますので、お困りの方は参考にしてみてください。
目次
エクスプレッシブライティングとは？
エクスプレッシブライティングは、アメリカの社会心理学者「ジェームス・W・ペネ・ベーカー」氏によって生み出された、メンタル改善に効果的な認知行動療法のひとつです。
上司からの暴言、SNSの誹謗中傷、ネガティブ感情などをそのまま紙に書き出し、ありのままの自分を受け入れることでメンタルの改善を図るという非常にシンプルな認知行動療法として幅広い方に認知されています。
具体的に何を書けばいいの？
エクスプレッシブライティングを行う際に書くネタとして、以下のようなものが挙げられます。
【エクスプレッシブライティングにふさわしいネタ】
・自分の抱いたネガティブな感情
・嫌な気持ち、人には言えない願い
・「大金を稼ぎたい」といった世間的にはよろしくないとされている欲求
聖人君子のような人ではない限り、どんな人でも上記のようなものはいくつか持っているはずなので、「何も書けなくて困る」ということはほとんどありません。
特に、普段からパワハラなどをしている嫌いな上司の下で働いている方であれば、書き切れないほどのやりきれない感情があるはずなので、それらをすべて書き出してみましょう。
具体的な書き方
エクスプレッシブライティングの書き方には特にルールはなく、箇条書きでも良いですし、日記形式でも構いません。
他人に見せる必要もないため、自分の思うままに書いていくのがコツです。
【僕が書いたエクスプレッシブライティングの中身】
・今日も上司にミスしたことを強く注意された…
・たしかにミスをした自分も悪いけど、1時間も説教することないだろう
・そもそも仕事量が多いし、納期に見合わないような無茶な要求ばかり
・他責にするのは良くないけど、自分だけが悪いということもないのになんで一方的に責めるんだ…
今にも闇落ちしそうな感じが出ていますが、何も気にせず書いていくのがコツです。
もちろん、より強烈な言葉を使うこともあるほか、1回のエクスプレッシブライティングにA4ノート10〜20ページほど使うことも少なくありません。
いずれにせよ、溜まったストレスを紙に書き出すことで頭の中がスッキリし、気分が楽になっていくのが実感できるはずです。
エクスプレッシブライティングに必要なもの
エクスプレッシブライライティングに必要なものは、以下のような文房具・ガジェットになります。
【事前に用意するもの】
・ペン
・紙のノート
・スマホ
・タブレット
・パソコン
自分の好みに合わせて選ぶのがコツですが、基本的には「ノートとペン」の組み合わせをおすすめします。
個人的にもしっくりくる「アナログツール」
スマホやタブレットなどにあるメモアプリを使って入力しても良いですが、やはりアナログのノートとペンには敵いません。
タイピングの場合、「書く前の思考」をワンクッション挟むことになり、本当の気持ちが書けなくなってしまうのが主な理由です。
一方、ペンを使って書くとよりリアルな心境が目の前に反映されるので、より高いリラックス効果・開放感などを得ることができるのです。
思考の整理にもつながる
紙のノートを使う理由のひとつとして、「頭の中を整理するため」というものがあります。
著名な方が書いている本の中にも、メモを取る重要性を説いている本はたくさんあり、特に以下の本は何度も読み返しています。
ビジネスパーソンにとって、紙とペンはなくてはならないツールのひとつです。
日々のストレスを解消させるため、また生産性を上げるためにも、普段持ち歩くカバンの中に1冊のノートとお気に入りのペンを入れておくと良いでしょう。
エクスプレッシブライティングのうれしい効果
エクスプレッシブライティングをするとメンタルを改善できるとされていますが、具体的にどのような効果があるのでしょうか？
2019年の研究によると、過去1年間にトラウマを経験した人が6週間にわたりライティングの介入プログラムを受けたところ、以下のような効果が見られたそうです。
【エクスプレッシブライティングによって現れた主な効果】
・レジリエンスの向上
・鬱症状の改善
・知覚されたストレスの緩和
レジリエンスの向上
レジリエンスとは、落ち込んだときから元の状態に戻れるまでの「回復力」「しなやかさ」とされています。
レジリエンスが高ければ高いほど気持ちの切り替えがうまく、困難な状況に再び向かっていけるといわれています。
鬱症状の改善
鬱症状の代表的なものとして、「やる気が出ない」「会社に行きたくない」などの「気分の低下」が挙げられます。
悪化すると「鬱病」になってしまい、日常生活が思うように送れなくなってしまうため注意が必要です。
また、「好きな趣味が楽しめない」「何もしていなくても涙が出る」など普段とは違った反応や気分になることも多いので、気になる方は心療内科などに行って医師の診断を受けましょう。
知覚されたストレスの緩和
先述した実験では、1日15分、3～4日の間、被験者に個人的な動揺についてノートに書かせたそうです。
その結果、健康不安のために医師を訪れる頻度が減り、精神的な「ウェルビーイング（幸福感や心の健康具合のこと）」が高まったという報告がなされています。
一方、ミシガン大学が2017年に行った研究では、わずか8分でも効果があるということが判明しているので、エクスプレッシブは「なるべく毎日書き続けていく」ことが大事なポイントになるといえるでしょう。
エクスプレッシブライティングで自分の将来を考えよう
自分が抱いている不満や不安などを書いていくと、次第に今後のキャリアプランや自分のやってみたかった行動などが頭の中に浮かんでくるようになっていきます。
気持ちがスッキリするのも大事なところですが、個人的にはこの「今後の人生・やりたいこと」について考えられるという点こそが、このエクスプレッシブライティングの大きな魅力だと考えています。
【僕自身が気づいたこと、浮かんできた疑問や悩みの例】
・上司の態度やパワハラで悩んでいたけど、そもそもなんでこの会社に入ったんだっけ？
・上司といっても会社から出ればただのおじさんやおばさんだし、どうして我慢しているんだろう？
・お金のことが気になるから？
・本当にやりたいことって今やっている仕事だっけ？
・今の仕事にこだわる必要ってある？
・別の会社で働いてもいいんじゃない？
会社の中で働いていると、知らない間に自分の思考が固まってしまうようになります。
現実は厳しく、上司や先輩のほか、結果を出している人こそが正義で、下の立場の人はいろいろと我慢しながら自分の意見を呑み込みます。
【上司や先輩からよく言われていたこと】
・お前以外の人はもっとやっているから
・ミスして迷惑かけた分、残業してでも新しいお客さんを見つけようとするのが当たり前だよね？
上司の評価や言動で自分のメンタルの状態が変わってしまうのは、あまり良い状態とはいえません。
仮に上司に嫌われても、周りからの評価が下がっても、大切なのは常に「自分はどうあるべきか？どうしたいのか？」を考えながら働くことです。
エクスプレッシブライティングは、いつでもできるストレス対策であると同時に、今後の目標を再確認できる指標としても使えますので、気になる方はぜひ取り組んでみてくださいね。
嫌いな上司がいる方はエクスプレッシブライティングを続けよう
今回は、真面目でストレスを抱え込みやすい方に向けて、エクスプレッシブライティングの基本的なやり方や具体的な効果について解説しました。
・自分の感情のままに書く
・1日15分、無理なら8分ほど書く習慣をつける
・自分の思考の偏りに気づける
毎日8〜15分間ほど自分の気持ちを書き出すことでメンタルが徐々に安定してくるようになりますので、気になる方は毎日の習慣に取り入れてみてはいかがでしょうか。
また、以下の本も参考になりますので、興味をお持ちの方はぜひチェックしてくださいね。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
それではまた！
