上司に言われた嫌な言葉が離れない…
せっかくの休みなのに明日の仕事のことばかり考えてしまう…
メンタルヘルスの重要性が叫ばれる世の中になっているものの、僕らの悩みやストレスは減ることなく増えていく一方です。
前回、自分の心とネガティブな妄想を切り離すオブザービングセルフの概要を解説しました。
オブザービングセルフではなく、シンキングセルフになっていると大きな不安感やストレスに襲われて、大事な判断ができなくなってしまいます。
そこで今回は、オブザービングセルフの状態になるための方法を紹介していきますので、興味をお持ちの方は参考にしてみてください。
目次
【オブザービングセルフになる方法①】イメージ脱フュージョンワークに取り組む
多くの人にネガティブな価値観を下してしまうシンキングセルフ。
シンキングセルフからオブザービングセルフにスイッチするために、イメージの力を借りながら脱フュージョンを行いましょう。
脱フュージョンとは、実際には起きていないネガティブな事象に怯える状態、あるいはフュージョン状態から抜け出すという意味を持つ言葉で、フュージョン状態から抜け出すとディフュージョン状態に入ります。
脱フュージョンの主なやり方は以下のとおりです。
①繰り返し思い出してしまう嫌な記憶をイメージする。(上司にこっぴどく怒られた、長年付き合っていた異性にフラれたなど)
②短いビデオクリップのように頭の中でまとめる。
③それを自由に編集し、面白おかしい動画に作り変え、それで遊ぶ。
少し不思議な感じですが、自由に編集するというのがポイントです。
怒られている上司の姿を着ぐるみを着せたり、頑固親父のかつらをつけたりします笑
冗談のように思う方も多いのですが、これで嫌な思い出もクスッとした笑いに変えることができるようになるほか、メタ認知にも効果的です。
なお、脱フュージョンに関してはこちらの記事で詳しく解説していますので、もしよければ併せてチェックしてみてください。
イメージ脱フュージョンの理想形
「自分はダメだと思われている」といったネガティブな思考をまるで現実で起こっているかのように考えてしまうのがフュージョン状態に入っている人の特徴です。
そのような思考をうまく切り離し、単なる映像だと考えることがイメージ脱フュージョンの最終的なゴールです。
・このネガティブな感情は単なる映像だよね
・勝手に現実のものと思い込んでいたよ
・どうしてイメージなんかに怯えていたんだろう?
このように考えられるようになれば、脱フュージョンは成功だといえますね。
しかし、脱フュージョン状態に入るのは比較的難しいので、できれば毎日10秒から2分ほどイメージして繰り返す必要があります。
地道に続けていき、やっかいなフュージョン状態から脱出しましょう。
【オブザービングセルフになる方法②】呼吸瞑想をする
瞑想の基本的な型の「呼吸瞑想」をして、オブザービングセルフの状態になるのも有効です。
僕たち人間は、呼吸をするたびに何らかの思考が生まれますが、それはしばらくすると消えていきます。
・今日の晩御飯何を食べようかな?
・好きな人に彼氏ができたらどうしよう…
・昨日また上司に「お前って本当に「使えないやつだよな!」って言われたな…
上記のような思考やイメージが生まれては消えてを繰り返しますが、なかにはネガティブな思考も出てきます。
人間なのでやはり気になってしまうものですが、そのようなネガティブな思考が出てきたことを許し、そのまま呼吸に意識を向けてやり過ごしましょう。
これを繰り返すことで、「価値判断しない自分」に集中することができ、そのままオブザービングセルフの状態に入ることができます。
また、ネガティブな思考が出てきた際は、その思考に「ありがとう」と感謝すると手放しやすくなります。
最初はつらいかもしれないので2〜3分ほど実践し、慣れてきたら10分くらいを目処に行ってみてください。
【オブザービングセルフになる方法③】自分の口癖を改善する
普段言っている自分の口癖から、シンキングセルフ(価値判断をする思考)の状態に入ってしまうことも少なくありません。
以下のような口癖が習慣になっている方は、もしかしたらシンキングセルフの状態になっているかもしれません。
1.どうしてこんな気分なんだろう…
2.全部私のせいなの?
3.どうして自分はこうなってしまうのか…
4.もうどうすることもできない…
5.こんな風に感じなければいいのに…
上記のような口癖がある方は、悪い感情が助長されやすく、時間と労力を浪費してしまいがちです。
オブザービングセルフの状態になるためには、価値判断をしないことが重要なので、価値判断をしてしまうような口癖があれば直す必要があります。
【オブザービングセルフになる方法④】自己否定をやめる
前述のとおり、オブザービングセルフは価値判断をしません。
そのため、僕たちを苦しめている自己否定はシンキングセルフが作っているとされています。
「やっぱりシンキングセルフっていらないじゃん!」と思うかもしれませんが、価値判断を行うシンキングセルフが必ずしも不要とはいえません。
自尊心は必ずしも必要なものじゃない
「いきなり1000万円の借金して新しい会社を立ち上げるなんて無謀だ!」など、シンキングセルフは人生に必要な注意喚起もしてくれるため、完全になくしてしまうと大きなトラブルにつながってしまうおそれがあります。
そのため、オブザービングセルフとシンキングセルフをうまく分けられるようになることが重要です。
また、メンタルヘルスでよくいわれている自己肯定感を高めるより、自己否定をやめることの方が大事で、無理に自信を持とうと奮起する必要はありません。
自己肯定感を高めるにはさまざまな方法ありますが、やはり「周りの期待に応える」ことが一番手っ取り早いです。
しかし、学校の勉強もそうですが、特に仕事の場合、上司の期待に応えるって簡単なことではありませんよね…
それに、周りに期待に応えることだけに注力し、それができなくなって潰れてしまう方も珍しくありません。
シンキングセルフは「ちょっと口うるさいけど根は真面目なやつ」くらいの立ち位置と考えておき、必要なときにだけ出てくるよう、うまくコントロールしてみましょう。
中庸を保つ
シンキングセルフとオブザービングセルフを使いこなすには、ポジティブとネガティブの中間でいるようにすることが重要です。
仕事で失敗したとき、「くよくよしないでポジティブに考えるのが大事!」と励ます方も多いのですが、どんなときもポジティブでいるのは難しいですよね。
また、人は極端なポジティブな言葉を聞くとかえって抵抗を持つとされています。
・君は完璧で誰からも愛される人間だ!
・あなたはいつも冷静でいかなる判断も間違えない人間だ!
冷静に考えて、上記なことをいわれてもうれしくありませんよね…
これは、シンキングセルフが「そんな人いないでしょ?」とツッコミを入れてくれているからです。
逆に、極端にネガティブなことをいわれても抵抗を持ちます。
・お前は本当にポンコツだな!どこの会社に行っても使えないぞ!
・君は本当にどうしようもないやつだな!呆れて何も言えないよ!
このときも、シンキングセルフが「そんなことないよ」と自分を励ますために価値判断を行います。
上記2つのどちらもシンキングセルフが働いているため、オブザービングセルフの状態にするには、ポジティブでもネガティブでもない状態にするのが重要といえるでしょう。
オブザービングセルフとシンキングセルフの2つをうまく使いこなそう
今回は、オブザービングセルフの状態になるための方法を4つご紹介しました。
・イメージ脱フュージョンワークに取り組む
・呼吸瞑想をする
・自分のネガティブな口癖を直す
・ポジティブとネガティブの中間で日々を過ごす
オブザービングセルフの状態を維持するには、ネガティブな価値判断を行うことなくフラットの状態でいることが重要です。
ただし、価値判断を下すシンキングセルフにも重要な役割がありますので、過度に嫌うことなく「出番が来るまで待機させておく」といったイメージを持つことも忘れてはなりません。
慣れないうちは難しいかもしれませんが、少しずつ練習していきオブザービングセルフの状態で毎日の仕事に取り組めるよう、努めてみてはいかがでしょうか。
また、以下の本も参考になりますので、こちらも併せてチェックしてみてください。
今回もご覧いただきありがとうございました。
それではまた!