先輩から仕事の指示を受けて行動しようとしたとき、その「理解」が遅れてやってくることはないでしょうか。
「あのとき先輩が言った指示って実はこういうことだったのかも?」
仕事中はさっぱりわからず、なかなか作業が捗らなかったものの、会社が終わって帰路に就いている途中に突然クリアになる感じです。
ADHDの脳の構造は定型発達の方のそれとは異なり、理解力が少々低いという特徴があります。
そのため、人から馬鹿にされたり、呆れられたりすることも少なくありません。
どうしてあのとき気づけなかったんだ…
今回は口頭での指示が苦手なADHDさんの方に向けて、理解力を上げる行動・思考法を紹介していきます。
ADHDの理解が遅い原因
指示を受けた直後ではわからないことが、その場から離れて時間がたったときに理解できてしまうという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
ゆっくりとじわじわ理解が進み、仕事が終わってからようやく頭の中で整理される感覚なので、仕事中はずっと頭を抱えてしまっています。
この現象は「あぶり出し」とよく似ていて、炎の上にかざした紙の表面に、ゆっくりと絵や文字が浮かび上がるように理解がやってきます。
しかし、どうしてこんな現象が起きてしまうのでしょうか。
ADHDは自分の思考だけにとらわれてしまいがち
思考や感情が頭の中で占拠されてしまうと、肝心の行動がスムーズに進みません。
僕は趣味でギターを弾きますが、初めて弾いた中学生のころは一つひとつの動作をチェックしながら弾いていました。
・Cのコードってどうやって押さえるんだっけ?
・右手と左手が全然合わない…
初心者なので無理もありませんが、こんな風に確認しながら覚えていくことになります。
おそらく、ピアノやトランペットの楽器のほか、自転車に乗るときなども基本的には同じでしょう。
練習するうちに勝手に手や身体が動くようになりますが、思考がロックされているといつまでたってもこの「感覚」で動くことができません。
いつまでたっても「この曲のAメロはCコードとDコードだから、指の動きはこうだな。よし、左手の指を動かそう!」みたいな状態です。
これが仕事中にも起きてしまっている可能性があります。
・さっき言われた指示はこうだったけどこれで合ってたっけ?
・とりあえずやってみたけどなにかが違うような気がする…
感覚で理解できなくなると、こんな風にどんな作業をするにしても時間がかかってしまうようになります。
いくら真面目にやっていてもいつまでたっても仕事が終わらないため、職場で「使えないやつ認定」を受けてしまいます。
ミスも増えますし、自己肯定感も下がってしまうでしょう。
ADHDの理解の遅さを解決するには?
上司からの指示や先輩からもらったアドバイスなど、職場ではそのような情報をひとつずつ理解してスムーズに行動に移すことが求められます。
具体的な解決策をご紹介しますので、自分に合うものがあればぜひ実践してみてくださいね。
思考モードから感覚モードへ
自分の頭を思考モードではなく感覚モードにすることで、自分の作業時間の増加を抑えることができます。
そのためには、いちいち考えることなく、プロの演奏家が奏でるバイオリンのように作業するということを意識する必要があります。
しかし、これは簡単なことではありません。
たとえばパワハラ上司が何度も自分の行動を注意してくる場合、次第に「自分がやっている行動って本当に合っているのか?」と疑問に思い、作業が捗らなくなってしまうおそれがあります。
何気ない作業でもその一つひとつに思考を挟むようになり、感覚的判断ができなくなってしまいます。
このままでは、思考モードから感覚モードへの切り替えが叶いません。
休憩してリフレッシュ
思考モードに入っているときは、脳がオーバーヒートしてしまっている状態なので、頭を使わずに横になって目をつむり、外部からの情報をシャットアウトさせます。
一時的な思考モードであればこれである程度改善されますが、これまでずっと思考モード状態で生きてきた人は、元々「物事を感覚的にやっている経験・感覚」の数が極端に少なく、そのため新たに感覚モードでの経験を積み重ねていく必要があります。
定型発達の人のように、感覚モードと思考モードを切り替えて行動していけるよう、無理のない範囲で取り組んでみてはいかがでしょうか。
ADHDの理解の遅さは感覚モードで対処しよう
今回は理解が遅れてやってくる理由と作業をスムーズに行えるようになる行動・思考法について書いてみました。
・理解が遅れてやってくる理由は脳が「あぶり出し」のような状態になっているから
・あぶり出し脳になっているのは思考だけに脳がとらわれている状態になっているから
・なるべく感覚モードで生きていき、脳にかける負担を少なくする
事務作業をはじめとるするデスクワークは、作業内容によって思考モードに陥りがちです。
発達障害の方が事務作業が苦手といわれている原因もこれによるものとされています。
自転車に乗る、歯を磨くといった感覚でできるような仕事は少ないかとは思いますが、マニュアルが完備されてイレギュラーなケースがあまり起こらない仕事であれば受けるストレスも少なくなるかもしれません。
仕事がうまくいかない、理解が遅くてつらいという方も、どうか自分を責めずにできることを続けていきましょう。
また、こちらの本がとても参考になるのでぜひ読んでみてくださいね。
今回もご覧いただきありがとうございました。
それではまた!