日々の仕事は少々面倒なものですが、旅行や読書など自分の趣味なら時間を忘れて没頭してしまうものですよね。
特に「ASD(自閉症スペクトラム障害)」と呼ばれる方の場合、この「没頭力」によって他者を圧倒する成果を出すことができるといわれています。
しかし、普段はADHDの特徴が強く出ているものの、上記のようなASDの特徴を併せ持つことも多く、混乱してしまう方も少なくありません。
【本記事は以下のような悩みを持つ方におすすめ】
・趣味に没頭していたらいつのまにか朝になってた…私って実はASDかもしれない?
・ADHDだと思ってたけど、明らかにASDの特性も出ている…いったいどっちなの?
今回は、ASDとADHDの違い、併発型の特徴について解説していきますので、興味をお持ちの方はぜひ参考にしてみてください。
目次
ASD・ADHDの併用型の方は珍しくない
一般的に、発達障害は以下の3つに大別されるといわれています。
【一般的な発達障害の分類】
①ASD(自閉症スペクトラム障害)
②ADHD(注意欠陥多動性障害)
③LD(学習障害)
これらは連続体(スペクトラム)で存在しており、それぞれの特徴が合わさって出ることも少なくありません。
ASD・ADHD併用型の割合
実際に、知的障害を伴わないASDの約30%にADHDが併存、そしてASD傾向が強いほど併存率が高まるという研究結果も出ています。
僕自身、ADHDの診断を受けている一方で、ASDの側面があると自覚しています。
【ASDだと感じる瞬間の例】
・日々のルーティーンが崩れることに強いストレスを感じる
・イレギュラーなことに弱い
・好きな分野に対しては強い好奇心を発揮する
・内向的でコミュニケーションが苦手
明確に区別するのは難しい
元々ASDとADHDは共通している点が多く、「明確に区別するのは難しい」といわれています。
たとえば、ASD・ADHD共に「コミュニケーションが苦手」という特徴がありますが、その理由は少々異なります。
【ADHDの場合】
・失言が多い
・人の話を聞かずに一方的に話しすぎてしまう
【ASDの場合】
・空気を読まずに突拍子もないことを言ってしまう
・相手の心情を汲まずに話を進めてしまう
どちらか一方に決めつけるのではなく、併発型の存在をきちんと受け止めることが賢明といえるでしょう。
ADHDとASDの境界線はどこ?
ASDの主な特徴として「空気が読めない」というものがあります。
しかし、なかには「空気が読める」ASDの方も一定数存在するため、「◯◯だからASD」と決めつけるのは早計といえます。
空気が読めることを自覚できる場合、「私はASDではないはず?」と思うのも無理はありません。
しかし、「こだわりが強い」「ルーティンを崩されることにストレスを感じる」といった特徴があれば、ASDと考えてほぼ問題ないといえるでしょう。
【「空気が読めない」を除く、ASDの具体的な特徴】
・人からの頼みごとを断れない
・人を誘うのが苦手
・人に話しかけることが不得意
なお、上記のような特徴がある場合、ASDの「受動型」である可能性が高いといえます。
ASDの受動型については以下の記事で詳しく解説していますので、こちらも併せて読んでみてください。
ADHDとASDを語るうえで大事な「相手との境界線」とは
ASDは、どちらかといえば「受け身的」な印象を持たれることが多く、僕自身周囲の人から「控えめでおとなしい」といわれることが多くあります。
むしろ空気を読みすぎてしまうので、「相手との境界線がうまく引けない」ことでかなり苦労しています…
相手との境界線としてなり得るものは、主に以下の2つとされています。
【相手との境界線になり得る代表的なもの】
・共通ルール
・パーソナルスペース
共通ルール
1つ目は「共通ルール」です。
境界線を自分の方に寄せすぎてしまうと、以下のような悩みやトラブルが生じるようになります。
【境界線を自分の方に寄せすぎてしまうことで生じる主な悩み事】
・自分が我慢すれば丸く収まるだろう…
・もう少しルールを守ってほしいのに言いづらい…
・嫌なことを言われたのに反論できない…
相手の許容エリアが拡大し、自分が我慢して「事を納める」ケースが常態化してしまう可能性があります。
逆に、境界線を相手の方に寄せすぎてしまい、周囲から嫌われてしまう方も多いです。
【相手側に境界線を寄せすぎてしまうことで生じるトラブル】
・「これくらい、大丈夫でしょ?」などと、決められたルールを軽視しがちな発言をする
・「あなたのせいでしょう?」などと、職場で起きたトラブルを他責にしてしまう
上記のような方のほか、「マイクロマネジメント(必要以上に細かい指示を出してマネジメントする方法)」をする上司なども「うまく境界線が引けていない」可能性があるため注意が必要です。
パーソナルスペース
境界線がうまく引けないと、相手のパーソナルスペースに侵入してしまう可能性があります。
【距離感が近い人と話す際に思うこと】
・この人、どうしてこんなに近くで話すんだろう…
・もっと距離感考えてほしいな…
逆に、相手との距離が遠いと、「もしかして嫌われている?」などと不要な誤解が生じてしまう可能性があるため気をつけましょう。
相手との距離感を修正するには?
「境界線」によるトラブルを防ぐためには、定期的に自分の意識を確認・修正することが重要です。
【境界線を見直すために考えてほしいこと】
・もしかして、自分ばかり我慢している?
・思わず怒ってしまったけど、私の管理不足のせいもあるし、お互いに悪いところがあったのかも…
手前に境界線を引いてしまう「受け身型」の方は、多少わがままになったくらいがちょうどいいのかもしれません。
慣れないと難しいの時間がかかってしまっていますが、少しずつ意識してストレスを溜めないようにしていきましょう。
ASDとADHDはどちらも優れた強みを持っている
前述のとおり、興味のない分野のことはさほど関心を示さないものの、自分が好きなものに対しては圧倒的な好奇心を発揮するのがASD(自閉症スペクトラム障害)の特徴です。
そのため、他人の人にはできないような成果を出したり、他人が嫌がるような仕事も難なくこなしたりすることができます。
ADHDも同様に、注意不足によるミスが多い一方、他人には真似ができない想像力を持っていることが多いです。
【ADHDとASDの併発型の方が持つ魅力的な特徴】
・驚異的な集中力を発揮し組織の中で大きな結果を残せる
・古い良き職人のような働き方をするため、「いつも冷静で集中して仕事をする人」など、周りの人に好感を持たれやすい
もし自分の個性が日々の仕事に活かすことができれば、現在抱いている「生きづらさ」はかなり軽くなるはずです。
問題は人とのコミュニケーションですが、それも先ほど紹介した「境界線」を正しく意識することで、少しずつ改善に向かわせることができます。
僕自身もコミュニケーションが苦手でいつも劣等感でいっぱいですが、自分の個性を「強み」として活かせるよう日々奮闘していますので、お困りの方はぜひ一緒に悩みの解消に向けて励んでいきましょう。
ASD・ADHDの双方の特徴を活かそう
今回はASDとADHDの違い、併発型の特徴について解説しました。
・ASDとADHDの双方の特徴を併せ持っている方は比較的多い
・どちらも代えがたい強みを持っているので、弱点を補いつつ長所を伸ばしていく
発達障害にはグラデーションがあり、人によって持っている特徴の種類がそれぞれ異なります。
また、その特徴の強さもバラバラで、「ちょっと困っている」という方から「仕事に支障が出る」という方までさまざまなので、気になる方は一度心療内科などを受診してみることをおすすめします。
なお、以下の本は発達障害の理解を深めるうえで非常に参考になりますので、本記事と併せて読んでみてください。
今回もご覧いただきありがとうございました!