世間では「ストレスはなるべくなら減らした方が良い」「身体を休めてリフレッシュすることが重要」といわれていますが、いずれもどこか抽象的で、具体的にどう対処すれば良いかわからないことも多々あるでしょう。
ストレスが増えると身体にさまざまな症状が出るようになるので、なるべく早めに対処することが重要といえます。
【本記事はこのような悩みを持つ方におすすめ】
・上司のパワハラがひどくてストレスが溜まる…何か良い方法はないの?
・仕事と子育てで自分の時間が全然持てない…私だってたまにはリフレッシュしたい!
今回は、ストレスが発生する仕組みのほか、効果的なストレスケアの方法について解説しますので、お困りの方は参考にしてみてください。
目次
ストレスホルモンの概要
身体にストレスが溜まると、「コルチゾール」と呼ばれるホルモンが分泌されます。
これが一般的にいわれている「ストレスホルモン」で、同時に「アドレナリン」「ノルアドレナリン」といったホルモンも全身に行きわたるようになります。
コルチゾール
コルチゾールは副腎皮質から分泌されるホルモンです。
抗ストレス作用や抗炎症作用、免疫制御作用など生命維持に欠かせない役割を担っています。
長期に及ぶストレスを抱え込んでしまうと、コルチゾールが過剰に分泌されたり、副腎が疲れて必要なタイミングで分泌ができなくなったりしてストレスに対処できなくなる可能性が高まるとされています。
アドレナリン
アドレナリンは、副腎の中の髄質から分泌されるホルモンです。
自律神経の交感神経が興奮することによってアドレナリンの分泌量が増え、やがて心拍数・血圧の上昇などの変化が現れるようになります。
また、アドレナリンの分泌によって集中力や注意力が高まるともいわれています。
ノルアドレナリン
ノルアドレナリンは、脳内の神経伝達物質、自律神経の神経伝達物質、副腎髄質から分泌されるホルモンです。
主に痛みやかゆみ、寒暖差や人間関係などのストレスによって分泌が促進されるといわれています。
注意力・集中力のアップは見込まれる一方、過剰に分泌されると「パニック障害」が引き起こされるおそれがあるため注意が必要です。
ストレスを受けるとどうなる?
ストレスを受けたとき、私たちの身体では、「交感神経が優位に働き、戦うか逃げるか反応(fight-or-flight response)が起こる」といわれています。
交感神経と戦うか逃げるか反応について、以下で詳しく解説していきます。
交感神経とは?
自律神経系とは、血圧や呼吸数など、体内の特定のプロセスを調節している神経系のことを指し、「交感神経」「副交感神経」の2つから成り立っています。
日中活動するときや、何らかの要因によってストレスを受けたときは交感神経が、逆に休むときは副交感神経が働きます。
もし過度なストレスを受け続けるようなことがあると、「交感神経優位」の状態になり、自律神経のバランスが乱れ(自律神経失調症)身体にさまざまな症状が現れてしまうため注意が必要です。
【自律神経失調症によって発症する症状の例】
・倦怠感
・不眠
・情緒不安定
・抑うつ症状
・下痢
なかには「単なる風邪」だと思い込んでしまう方も少なくありません。
判断がつかないことも多くあるので、気になる方はなるべく複数の病院に通うことをおすすめします。
戦うか逃げるか反応(fight-or-flight response)とは?
アドレナリン、ノルアドレナリンなどのホルモンが分泌されると、戦うか逃げるか反応(fight-or-flight response)という反応が起こります。
これは、はるか昔凶暴な獣などの敵に遭遇したときに、逃げるまたは戦うかのどちらかの行動を取るために交感神経が優位に働くという、一般的な人ならほぼ必ず現れる身体反応のことです。
ただ、令和の社会の中において、マンモスなどの狂暴な動物に出会うことはほとんどなく、代わりに以下のような敵が現れます。
【遭遇するであろう主な敵】
・嫌な上司
・苦手な先輩
・相性が悪い同僚
・マウントを取ってくるママ友
・ケチをつけるのが好きなお姑さん
上記に挙げる敵と遭遇してしまった際、簡単に逃げらるケースはさほど多くありません。
特に自己承認欲求を他人で満たそうとする人には注意が必要で、このような人は他人を搾取する「悪いサイコパス」と呼ばれています。
身体や精神に何らかの症状が出る前になるべく距離を取るなどの対策を実施するほか、定期的にストレスを発散させることが重要といえるでしょう。
過度なストレスによって生じる困りごと
ここからは、ストレスが増えることによって起こる具体的な症状や困りごとについて解説していきます。
【過度なストレスによって発生する困りごと】
・不安や恐怖が制御できなくなる
・判断ミスが増える
不安や恐怖が制御できなくなる
過度なストレスが発生すると、脳の中にある「扁桃体」に大きな負荷がかかり、不安や恐怖に過敏に反応してしまうようになります。
扁桃体はネガティブな感情をうまく処理し、メンタルを一定に保つ役割を果たしている大事な脳の組織のひとつです。
この扁桃体が弱ってしまうと以下のような症状が現れます。
【扁桃体が弱ることで生じる主な症状】
・反芻思考(嫌な出来事・体験を頭の中で何度も思い出すこと)
・抑うつ症状
・暴飲暴食
いつもなら問題のない不安事や心配事が処理しきれず、一種のパニック状態になってしまうことも珍しくありません。
なお、本来なら避けるべき行動である「眠る前のスマホチェック」も過度なストレスが原因のひとつとされているため、思いあたる方は注意が必要です。
判断ミスが増える
ストレスが増えると、自分にとって大事な判断をする際に迷ってしまうようになります。
【自分にとって大切なことの代表例】
・自身のキャリア(転職や独立など)
・高価な買い物(一戸建てやマンションなど)
・ライフイベント(結婚や介護など)
脳に負荷がかかっている状態では、焦りや不安といったネガティブな感情が強く現れ、その結果判断の質が下がります。
自分にとって不利な判断を下す可能性が高まるので、ストレス過多の状態で決めるのはあまり好ましくないといえるでしょう。
簡単にできるストレスケア
ここからは、比較的簡単なストレスケアの方法を紹介していきます。
【簡単にできるストレスケア】
・自然を見る
・マッサージを受ける、またはセルフマッサージをする
無理にやろうとするとかえってストレスが増えてしまうので、自分に合ったものを取り入れてみてくださいね。
自然を見る
ストレスケアに効果的で、なおかつ簡単にできるものは「自然を見る」ことです。
森や川、山や風などの自然に触れることで、大きなリラックス効果を得られることがイギリスのブライトンサセックス医科大学の研究によって明らかになっています。
このとき、「自然を見るといっても、近所に森林浴ができるところなんてないよ」と思う方も多いですが、必ずしもそのような場所に行く必要はありません。
【身近にある自然の例】
・近所の公園
・通勤途中にある街路樹
・室内にある観葉植物
通勤途中にある街路樹を眺めるほか、近所の公園に足を運んでも構いません。
また、観葉植物を購入して部屋の中に置くのも有効なので、興味のある方はぜひ実践してみてください。
マッサージを受ける、またはセルフマッサージをする
マッサージには、ストレスの緩和のほか、疲労回復・血行改善効果が期待できます。
しかし、「マッサージの施術が苦手で整体院やリラクゼーションサロンなどに通えない…」という人も多いのではないでしょうか?
僕自身も少々苦手なので、「マッサージボール」や「マッサージガン」を使ってセルフマッサージをしています。
移動時間も節約できますし、ピンポイントでツボを刺激できるので、整骨院やリラクゼーションサロン、病院などに通う時間がないときに便利です。
また、「人見知りで施術者に気を遣ってしまう」という方にもおすすめなので、気になる方はぜひ試してみてください。
発達障害とストレスケアは切っても切り離せない関係にある
今回は、仕事のストレスに悩んでいる方に向けて、ストレスの発生原因のほか、効果的なストレスケアの方法について解説しました。
・ストレスが増えすぎてしまうと自律神経が乱れ、身体にさまざまな症状が現れる
・ネガティブな感情が制御できなくなると頭が回らなくなり、判断ミスを引き起こす
・自然に触れる、マッサージをするなどのストレスケアに努める
僕たちの周りには危険な猛獣などはいませんが、代わりに苦手な上司や先輩がいて、基本的に逃げることができません。
大事な身体を守るためにも、自分に合ったストレス解消法を見つけ、それを実践しつつ日々の仕事にあたっていきましょう。
また、以下の書籍も参考になるのでぜひチェックしてみてください。
今回もご覧いただきありがとうございました。
それではまた!