適応障害になる前の僕はひどい「完璧主義」で、いつも「ミスをゼロにしないと!」「いつまでもお荷物扱いされたくない!」と自分に言い聞かせながら仕事をしていました。
しかし、自分にプレッシャーをかけたところでADHDの特性がなくなることはなく、「また失敗してしまった…」と落ち込んでしまうことが少なくありませんでした。
このような経験を経て、今の僕はあえて「自分にとっての合格ラインを下げながら仕事に取り組む」ことを心がけています。
【本記事はこのような悩みを抱いている方におすすめ】
・完璧主義から抜け出したいけど、具体的にどうすればいいの…?
・合格ラインを下げたら周りから「できない人認定」されるのでは…?
今回は、完璧主義の脱却につながる「70点主義」について詳しく解説しています。
僕自身も採用している考え方なので、興味をお持ちの方は参考にしてみてください。
目次
「70点主義」を採用しないことで生じるリスク
「70点主義」とは、仕事をはじめあらゆる物事において「7割でOK」と考える思考・行動・習慣などを指す言葉です。
「私の上司は些細な誤字脱字も見逃さない粘着気質なんだけど…」と苦慮する方も多いですが、一部のパワハラ上司を除き、多くの責任者は部下の「仕事のスピードと質」「報連相の頻度」などを加味してフィードバックすることがほとんどです。
【上司が怒る主なケース】
・これまで使ったリソースに対する仕事の質が著しく低い場合
・中間報告をせずに仕事を進めていた場合
・目標が未達、あるいは締切を過ぎていたにもかかわらず報告しなかった場合
・締切・目標そのものを失念していた場合
一般的には、「ミスしたこと」よりも「仕事の取り組み方」に問題がある場合に怒ることが多いとされています。
もちろん、ミスの頻度・内容によってはカミナリのような叱責を受けてしまうケースも珍しくないため注意が必要です。
「70点主義」を採用する主なメリット
「70点主義」を採用することで、以下のようなメリットが得られます。
【「70点主義」を採用する主なメリット】
・早い段階での報告・相談が可能になる
・無駄な「やり直し作業」が発生しづらくなる
早い段階での報告・相談が可能になる
僕を含め、多くの発達障害の方は「完璧主義」になりやすく、任せられた仕事を100点だと思えるまでブラッシュアップしがちです。
そのため、仕事で大事な「報連相」がおろそかになりやすくなるほか、仮に満足のいくものができたとしても「そんなに時間をかけてこの程度なの?」などと失望されてしまうことも少なくありません。
一方、70点主義を採用している方は、こまめな報連相が可能になります。
【こまめな報連相をすることで得られる主なメリット】
・上司の信頼を得られる
・上司の負担(進捗管理やミスのリカバリーについての立案など)を減らせる
多くの上司は部下の進捗を知りたがっています。
仮に締切に間に合わないような場合にも、現在の状況を素直に報告することで「周りの誰かにヘルプを出す」といった対応が可能になるからです。
「目標まで全然届いていない状況の中で報告するのは気が引ける…」という気持ちは痛いほどわかりますが、勇気を持って上司に声をかけることが重要といえます。
無駄な「やり直し作業」が発生しづらくなる
「70点主義」の方は、上司・先輩へのこまめな相談が習慣になっています。
相談のたびに「もっと◯◯した方がいい」「△△はあえてしないのもアリ」といったフィードバックを受けられるため、無駄なやり直し作業の回数が比較的少ないとされています。
無駄なやり直し作業については、僕も過去に何度もしたことがあり、そのつらさは今でも記憶に残っています。
【実際にやらかした無駄な作業の例】
・コミュニケーションの齟齬に気づかず約10,000字のリライトをする
・お客様から「口座振替書」を書いてもらうことを失念しており、営業車を1時間ほど走らせて取りに向かう
ただでさえ「ADHDの注意不足」の特性があるのに、さらにこまめな相談・確認までおろそかにしていたら、ミスをするリスクは高まって当然です。
自分の負担が増えるほか、お客様の信用問題にも発展しかねないので気をつけましょう。
「70点主義」を採用できず悩んでいる人におすすめしたい方法・考え方
70点主義のメリットを知り、「私も今日から70点主義で仕事に取り組もう!」と思っている方も多いでしょう。
しかし、「ミスがあることを承知のうえで上司に報告するなんて怖くてできない…」と悩んでしまう方も少なくありません。
そのような方は、以下の方法・考え方を取り入れてみることをおすすめします。
【70点主義を採用しやすくなる方法・考え方の例】
・過度な承認欲求を改善させる
・致命的な「あの件、どうなった?」発言をされるよりはマシと考える
過度な承認欲求を改善させる
70点主義を採用したくてもできない人の多くは「完璧主義」であることが多いです。
「完璧主義」の原因になっている要素として、主に以下の2つが挙げられます。
【完璧主義の主な原因】
・承認欲求が強い
・幼少期に親から過度な期待をかけられていた
子どもころに親から過度な期待をかけられながら育ってきた方の多くは、「テストで100点取らないと叱られる」といった悲しい過去を持っているとされています。
しかし、過去に戻ってやり直すことはほぼ無理なので、「承認欲求の強さ」を改善するのがベストといえます。
【過度な承認欲求を改善するコツ】
・「誰に何を褒められたいか」を明確にする
・「褒められることで何が得られるか」を考える
悲しいことですが、上司から褒められて得られるのは主に「高揚感」「満足感」といった一時的なものであるほか、それらが積もり積もって「過度な期待」となって自身に降りかかってきてしまうケースも珍しくありません。
もちろん、「昇進」「ボーナス」などの「社会的・金銭的なメリット」につながることもありますが、これらはのちに発生する「多忙な業務」「大きな責任」とセットになっているケースがほとんどです。
人によって異なりますが、自分が「社会的な地位・金銭的なメリット」<「自分のメンタル」の方であれば、承認欲求の呪縛から抜け出すことができるでしょう。
致命的な「あの件、どうなった?」発言をされるよりはマシと考える
「あの件、どうなった?」と上司から声をかけられた経験を持っている方も多いでしょう。
ささいなやり取りにも見えますが、これは僕が恐れている「キラーワード」のひとつで、なるべく自身の現状を確認されないような行動を取るように心がけています。
【「あの件、どうなった?」と聞かれることがマズい主な理由】
・上司からの信頼を得られていないことを思い知らされる
・上司の負担を多くしている
・自分自身のプレッシャーになる
そもそも、上司に「あいつに任せているから大丈夫」と思ってもらえていれば、現状を確認されるようなことはほぼありません。
また、特に信頼されていない場合にも、こまめな報連相ができていれば、「あの件、どうなった?」などの進捗確認の声掛けをされることはありません。
「自身の仕事振りのダメさ」「信頼のなさ」が浮き彫りにならないようにするには、70点主義を採用し以下のような行動を取るのがベストといえるでしょう。
【70点主義から生まれる理想的な行動の例】
・仕事を任せられた際、「報告はどんなタイミングですればいいですか?」と聞く
・困ったことがあれば迅速に連絡を入れる
報告の頻度について上司に尋ねることで、「もっと細かく報告しろ!」「そこまで密に報告しなくていいよ…」といった無駄なトラブルがなくなります。
また、何か悩ましい出来事があればすぐに連絡を入れ、適切なフィードバックを受けましょう。
余計な対応が少なくなるほか、「トラブルが起きても隠さない人」「向上心が強い人」といったようなポジティブな印象を与えられるのでおすすめです。
「70点主義」は自身の市場価値の向上にもつながる
今回は、完璧主義の脱却につながる「70点主義」について解説しました。
・「仕事を完璧に仕上げる」ことはほぼできない
・100点を目指さないことでさまざまなメリットが得られる
・目標を達成しやすくなり、自分の市場価値が高まる
僕は重箱の隅をつつくような上司・先輩にあたることが多かったことから、今回紹介した「70点主義」に対しやや強い抵抗感を持っていました。
しかし、「自分は不完全な人」という認識を持ち、報告のタイミング・回数を確認すれば、そこまでひどく怒られることはないということも学んでいます。
ただし、どんなことをしても心無い対応・言動をしてくるパワハラ上司も存在します。
相談しても改善が見られない場合、転職・独立などを視野に入れつつ今の会社の「辞めどき」を考えてみることをおすすめします。
以下は関連記事です。
今回もご覧いただきありがとうございました!
それではまた。