ディフュージョンしたい!ても具体的にどんなことをすればいいの?
ストレスケアにはさまざまな方法がありますが、その中でもACTが注目されています。
このACTにはさまざまな要素で成り立っており、基本概念のディフュージョンの理解が欠かせません。
今回は、ACTのディフュージョンについて、具体的なやり方・方法を紹介していきますので、メンタルヘルスに興味がある方はぜひチェックしてみてください。
目次
【ディフュージョンのやり方①替え歌を作る】
仕事でミスをして上司から怒られた際、それを次の日に引きづってしまう方も多いのではないでしょうか。
僕自身、誤字や脱字に気づかないまま記事を提出してしまうことも多く、「どうして気づかなかったんだろう…」と自分を責めてしまうことも珍しくありません。
このようなとき、自分の好きな歌のメロディーに乗せて歌ってみてください。
「ふざけたことを言うなよ!」と思う方も多いのですが、実際にやってみると、自分の気持ちが徐々に楽になっていきます。
たとえば、ビートルズの「イエスタデイ」などの往年の曲や、L’Arc〜en〜Cielや宇多田ヒカルなどのアーティストの曲でも全然大丈夫です。
「私は社会に馴染めない〜♪」みたいな歌詞を作り、実際に歌うことでこれが単なる「思考や言葉」だと気づくことができます。
たしかに、仕事ができないと否定されて苦しいですが、「仕事ができない=ダメなやつ」とはなりません。
・仕事ではミスったけど、趣味のサークルに行けば多くの友達がいる
・会社では居場所がないけど、家に帰れば大事な家族が迎えてくれる
このように、仮に仕事がうまくいかなくても、どこかで自分が輝ける、落ち着ける場所が1個くらいはあるものです。
自分の人生は仕事だけじゃない!と思えるようになりますので、一度自分で作った替え歌を歌ってみてください。
【ディフュージョンのやり方②】役に立つ思考かどうかを考える
前回の記事でも解説しましたが、ACTは有効性至上主義で、事実かどうかは問題となりません。
思考が事実かどうかは不確定なほか、それが有効ではないとされたとき、容赦なく切り捨てます。
先ほどの「自分はダメなやつ」という思考は、そもそも事実ではありませんし、仮に事実であっても役に立ちません。
自分はダメなやつと考えてしまっては、そこからどう行動して改善するかがわからなくなってしまうからです。
ほかにも、以下のような言葉も気にする必要はありません。
・お前の代わりなんていくらでもいるからな!
・どうしてこんなこともできないの?
・お前みたいな使えないやつ、初めて見たよ
上記のような言葉は、単に否定する言葉であって、今の状況を改善させるような意味は持ち合わせていません。
もしネガティブな気持ちに襲われてしまったときは、「この感情は有効か?」を考えて、もし有効じゃなければ少し距離を取って放置してしまいましょう。
またネガティブな思考が浮かんできた際、全部真面目に捉えないのも重要なポイントです。
職場の陰口・マウントなどで生まれた思考は何の役にも立たないうえに、真面目に捉えてしまうとより傷ついてしまいます。
自分の心を守るためにも、もし自分を責めるような状況に陥ってしまったときは、何か不真面目なことを考えるようにしてください。
・自分はダメなやつではなく道端に生えている雑草だ
・自分はダメなやつではなく道端にある石ころだ
本当に馬鹿馬鹿しく思えるかもしれませんが、定期的に不真面目なことを考えていると、実際にネガティブな思考にとらわれてしまったときもそこまで真面目に考えなくなるようになります。
慣れないと難しいかもしれませんが、これも必要な訓練と思って実践してみてください。
【ディフュージョンのやり方③】自分の心に感謝する
ネガティブな感情が頭に浮かんできた場合、それに感謝して受け流しましょう。
僕もよくネガティブな思考に陥りがちで、ふとした瞬間に落ち込んでしまうことが多くあります。
・このままサラリーマン人生を続けていいの?
・嫌な上司の下で働いていていいの?
・またミスをして怒られるよ?
・仕事が怖くて会社に行けなくなるかもしれないよ?
ほかにも、貯金は少ないしいつリストラされるかわからないなど、自分では制御できないほど頭の中に浮かんできます。
これらを全部真面目に受け止めてしまっては身体がもたないので、「このことに気づかせてくれてありがとう」と思い、そのままスルーしています。
人は不安になると慎重に判断・行動するようになり、詐欺などの犯罪に遭いづらくなるほか、無謀なチャレンジをしなくなります。
このようなメリットになる面も持っているため、ネガティブな思考を振り払うのではなく、単なる言葉のひとつと思って受け流すことが重要です。
具体的には、ネガティブ思考に10秒間集中し、その後自分の心に「ネガティブな感情を出してくれてありがとう!」と感謝してどんな変化が出るのかを観察してみてください。
これを繰り返すと、単なる参考情報のひとつとして捉えることができるようになり、余計な負担が減ります。
上司に怒られたときや、ミスのことが頭から離れないときは、一度この「感謝のワーク」を実践してみてくださいね。
【ディフュージョンのやり方④】「という」ワーク
ディフュージョンするには「というワーク」が欠かせません。
少しおかしなネーミングではありますが、紙とペンがあれば簡単にでき、さらにその効果も高いといわれています。
実際に、以下の手順で「というワーク」を実践してみましょう。
①私は「自分が○○だ」という考えをしているかどうかを確認し、それらを書き出す
②「私は自分が○○だという考えを持っている」という文章に修正する
「自分は○○だ」といった文章を「自分は○○だという考えを持っている」に変えるだけというシンプルなワークで、以下のように書いていきます。
・自分は仕事ができない人だ→「自分は仕事ができない人だ」という考えを持っている
・自分は会社に貢献できない人だ→「自分は会社に貢献できない人だ」という考えを持っている
また、少しアレンジを加えて以下のようにしてもかまいません。
・同僚のAさんは私のことを使えない奴だと思っている→「同僚のAさんは私のことを使えない奴だ」と思っている『という考えを自分は持っている』
・上司は私のことを嫌いだと思っている→「上司は私のことを嫌いだ」と思っている『という考えを自分は持っている』
「あくまでそんな考えをしている」と自分に言い聞かせるように書いていくと、物事を一歩引いて見れるようになります。
これは自分のことを客観的に見る「メタ認知」に繋がりますので、思いつくままに書き出し、脳内に出てくるネガティブな感情を修正していきましょう。
なお、今回ご紹介したディフュージョンについては以下の記事でも解説していますので、こちらも併せて読んでみてください。
自分に合ったやり方でディフュージョンしよう
今回は、ACTのディフュージョンの具体的なやり方をご紹介しました。
・ネガティブな感情を歌に乗せて歌ってみる
・ネガティブな感情を真面目に受け止めない
・ネガティブな感情を生み出した心に感謝して受け流す
・ネガティブな感情が出てきたら「という」をつけて考える
ネガティブな思考はとてもやっかいで僕らのメンタルに悪影響をおよぼしますが、これは単なる言葉の羅列にすぎません。
現実には起こっていない、あるいは思い込みのことが多く、いずれも有効ではないため真面目に捉える必要はないからです。
ネガティブな感情はゼロにすることはできませんので、ネガティブな感情が頭から離れず困っている方は今回ご紹介したものの中から何かできそうなものを選んで実践してみてください。
また、以下の本も参考になりますので、こちらも併せてチェックしてみてくださいね。
今回もご覧いただきありがとうございました。
それではまた!