「何度言ったら理解できるんだよ!」と言われてもな…仕事も上司との関係も全然ダメ…
いくら頑張って仕事をしても、ミスをしたり成果が出なかったりすると落ち込んでしまいますよね。
周りの同僚は上司から好かれているのに、自分だけ評価されてないと感じてしまうと、ますます自分のことが嫌いになってしまうでしょう。
そのようなときに実践したいのが認知療法行動のひとつである「セルフコンパッション」ですが、具体的にはどんなことをやればいいのでしょうか?
今回は、セルフコンパッションの概要や具体的なやり方のほか、自分を責めないようにするために仕事の中で意識していることなどについて書いてみます。
セルフコンパッションの基本事項
セルフコンパッションは、「自分への優しさ」「共通の人間性」「マインドフルネス」の3つの考え方によって行われる認知行動療法です。
やや抽象的に見えますが、具体的にはどんなものなのでしょうか?
自分への優しさ
セルフコンパッションの基本は、「自分に厳しくせず、親友を慰めるような言葉をかける」ことにあります。
・誰にでも失敗することはあるよ
・これで終わりじゃないし、次は頑張ろう
・むしろこんな条件でここまでよくやったよ
大事な友達が落ち込んでいるシーンを想像し、なぐさめるように優しい言葉をかけていきます。
頭の中でイメージするのも良いのですが、実際に紙に書き出してみるのもおすすめですなので、まずはここから始めてみてください。
共通の人間性
人は周囲との関わりとの中で生きており、仕事の失敗は自分だけの責任でないことがほとんどです。
他責にすることはよくありませんが、過度に自分だけが悪いと抱え込んでしまうのも同じくらいよくありません。
人は誰しも失敗するものであり、このように「自分だけではなくみんなも同じ」という考え方を「共通の人間性」と呼びます。
冷静に考えてみると納得するかとは思いますが、仕事で失敗するのはなにも自分だけではありませんよね。
また、午前0時を過ぎてもオフィスの明かりが点いてる会社もたくさんあり、終電の車内にもくたびれたスーツ姿の方々が乗っています。
長時間の残業で悩んでいるのは自分だけじゃないんだなと思うことで、心が少しだけ軽くなるかもしれません。
マインドフルネス
マイナスの思考を止めるために、目の前にあることだけに集中することも大事です。
周囲から責められてしまうと、仮にその人たちがいなくなっても自分を責め続けてしまうようになってしまいます。
・やっぱり君はそんなものなんだな…
・期待していたのにがっかりだよ
・いい年してそんなこともできないの?
心ない言葉を浴びせられてしまうとストレスが溜まって不眠症やうつ病などにもなってしまいます。
逆に、今この瞬間だけを意識できるうようになると、すぐに前を向いて行動できるようなります。
たとえば急な坂道を自転車で登っているとき、上司の嫌味を思い出すような余裕なんてほとんどありません。
極端な例かもしれませんが、常に目の前にあることだけに意識を向けられれば嫌な気持ちを引きずるようなことも少なくなります。
セルフコンパッションの具体的なやり方
単に紙に書き出していくのも良い方法ですが、以下のように日記形式で取り組んでいくのもおすすめです。
毎日なかなか日記をつける時間も取れないので、僕は週に1回くらいは書くようにしています。
・火曜日→仕事のミスで上司に怒られる
※やりきれない想いもあるけど、そんな中でもやり切った
・木曜日→やっかいな仕事を振られる
※自分でも思うような作業ができなかったけど、残業して終わらせた
このような状況に、マインドフルネス、共通の人間性、自分への優しさなどの要素を加えて書いていきます。
マインドフルネス
当時の様子や感情を、ありのままに受け入れて書き出していきます。
・失敗してしまって恥ずかしかった
・自分のことが嫌いになっていく様子が見て取れる
・みんなきっと「またミスったんだな…」みたいな感じで思っているよね
書いているだけで悲しくなってしまいますが、少しずつ心が落ち着いてくるのもわかるようになるので、ありのままを書いてみてください。
共通の人間性
人間である以上、完璧な人なんていません。
どんな人でも失敗するものでなので、そのような意識を持って自分の考え方を違って形でとらえていきます。
・たしかに失敗して恥ずかしかったけど、どんな人でも失敗するものだから、あまり気にしてもしょうがないよね
・自分の期待値なんてたかがしれているから、これ以上評価も下がることはないよね。クビになったら次の仕事を探そう。
自分への優しさ
最後に、親友を励ますような形で自分に優しいメッセージをかけていきます。
・たしかにミスってしまったけど、これで終わりじゃないよ
・そもそもそれって会社や上司にも責任があるんじゃない?
・精一杯やったんだからそれはいい経験になるよ
これでセルフコンパッション日記が完了となります。できれば毎日、難しければ週に一回だけでもかまいませんので実践してみてください。
セルフコンパッションを行うときに気をつけること
セルフコンパッションの基本を押さえても、日々の忙しさから途中でやらなくなってしまう可能性があります。
僕も実際に残業が続いて疲れが溜まっていくと、セルフコンパッションよりも睡眠を優先させてしまいますからね。
自分の時間を作るために、やはり日々の仕事でかかる負担を少なくする必要があるので、残業が減らないと悩む方は以下にご紹介するポイントを参考にしてみてください。
ストイックにならない
僕はメンタルが非常に弱いので、ミスをしてしまったときは意識的に優しい言葉をかけ、できる範囲で【つらいことを楽にこなせるような】工夫を続けています。
完璧主義が邪魔をして、ストイックに厳しくしてしまうことも多いのですが、それもあくまで緊急時のみにしています。(緊急なときが多すぎるのが悩みの種です)
また恥ずかしいことに、ストイックに続ける自分に酔っていた時期がありました。
でも、周りは全然気にしていないし、自分だけが取り残されたような感覚に陥るだけでした。
ストイックに仕事に取り組む人ではなく、継続して結果を出す人の方がカッコいいのではないでしょうか。
過去の失敗を振り返りつつ、自分の限界を把握しながら日々のやるべきことにあたっていきましょう。
自尊心と混ぜない
自尊心とは「自分の人格を大事にする気持ち。また、自分の思想や言動などに自信をもち、他からの干渉を排除する態度。プライド」とあります。
※小学館 デジタル大辞泉より
この自尊心は、自分の気持ち、モチベーションを維持させるために必要なものとも言い換えることができ、他人によって傷つけられてしまうことも少なくありません。
そのため、ほかの人よりも優れている、想像以上の結果が出せたときなどに自尊心は高まるものの、失敗したときにはまた自尊心が傷つき、心のバランスが取れなくなってしまうのです。
自尊心を保つのは難しいですが、あまり自尊心のことを考えずに、目の前にある仕事だけに目を向けて取り組んでいきましょう。
無理がない範囲で続ける
基本的に、人はつらいことや面倒なことは苦手であり、続けるには気力と根気が必要になります。
真面目な人や根を詰めてしまう人は、この自分にとって負荷が大きい物事(仕事や家事など)に対して正面化からぶつかってしまいがちです。
つらいときにこそ自分に優しくしてあげないといけないのに、頑張っているのに成果を出せていない自分を責めてしまってはますますつらくなってしまうでしょう。
そのため、しんどいときは【頑張る】のではなく、【工夫してしんどくならないようにする】ことを意識しながら仕事を進めてみてください。
・買い物が大変だからネットスーパーを活用する
・掃除が面倒だからロボット掃除機を使う
・寝不足のときは無理をしないで身体を休ませる
また仕事の場合、周りの人のことも考えなければいけないので工夫することのハードルも上がりやすいのですが、個人単位ならできることもあるはずです。
・生産性を上げるために最新のパソコンを買ってみる
・集中力を維持するために電話ではなくテキストで連絡するようにお願いする
・普段から職場の人間関係を大切にするように行動する
どんなことでも大丈夫なので、無理なく続られる工夫をしていきましょう。
また、「セルフコンパッションの基本事項を押さえたよ!」という方は、以下ので「セルフコンパッションのその他の要素」を解説していますので、興味をお持ちの方はぜひ読んでみてください。
セルフコンパッションの基本を覚えよう
今回はセルフコンパッションの概要や具体的なやり方のほか、自分を責めないようにするために仕事の中で意識していることなどについて書いてみました。
・セルフコンパッションは「自分への優しさ」「共通の人間性」「マインドフルネス」の3つの考え方で成り立っている
・日記形式でセルフコンパッションを行う
・自分を責めず、無理をしない範囲で仕事を続ける
大事なのは周りの状況に左右されずにセルフコンパッションを続けていくことではないでしょうか。
修行僧でもない限り、自尊心を完全に捨てきることはできません。
それだったら、自尊心と向き合いながら、愚直にセルフコンパッションを続けていく方が賢明かと思います。
自責癖はすぐには治すことができないものですが、できることをこなして少しずつ改善させていきましょう。
また、以下の本も参考になりますので、こちらも併せてチェックしてみてくださいね。
今回もご覧いただきありがとうございました!
それではまた!