仕事や育児をしている際、現在の健康状態や将来のことなどが気になり不安になってしまうことはないでしょうか。
不安は誰しもが抱く感情のひとつで、場合によっては自分のメンタルに悪影響を与えるやっかいな存在です。自分なりにうまく付き合っていくことによって、仕事や育児など生活全般にかかる負担が減るといわれています。
【本記事はこのような悩みを持つ方におすすめ】
・今の仕事、本当にこのまま続けていても大丈夫かな…?
・テレビやネットには悪いニュースばかり流れているし、私ってこのままじゃダメなのかな…?
今回は、不安のメリット、不安をうまく活用する方法、不安障害の概要などについて解説していきますので、興味をお持ちの方は参考にしてみてください。
目次
「不安」は悪いもの?
「不安=悪いもの」と考えている方も多いですが、一概に「悪いもの」とはいえず、使い方によってはメリットになることも少なくありません。
1998年、アメリカで3万人の成人を対象に行われた調査によると、強度のストレスがある場合には、死亡リスクが43%も高まったとされています。
しかし、死亡リスクが43%高まったのは、『ストレスは健康に悪い』と考えていた人たちだけで、この点から、ストレスの捉え方の重要性がわかります。
※参考:ケリー・マクゴニガル著 「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」
不安が持っている具体的なメリット
不安には、主に以下のようなメリットがあるといわれています。
【不安が持つ主なメリット】
・大きなリスクに備えられる
・慎重に物事を判断できる
大きなリスクに備えられる
しょっちゅう不安になってしまう人の多くは、内向的で引っ込み思案といわれています。
「私の内向的な性格によって強い不安感を覚えるのか…でも自分の性格を変えるのって難しいよね」と、改善するのを諦めてしまう方も少なくありません。
しかし、以下に挙げる有名な経営者は内向的な性格をしているといわれており、個人的には「無理に変えなくてもいいよね」と思っています。
【内向的な性格を持つ経営者の例】
・スティーブ・ジョブズ(Appleの創業者)
・ビル・ゲイツ(MicrosoftのCEO)
・マーク・ザッカーバーグ(MetaのCEO)
Appleの創業者であるスティーブ・ジョブスは、人と話すことよりも、パソコンで作業する方が得意だったそうで、だからこそ世界的な発明となる「iPhone」「Macbook」などを作れたといわれています。
また、Microsoftを設立したビル・ゲイツや、Facebookを立ち上げたマーク・ザッカーバーグなども、内向性が持つ強みを活かして数多くの功績を残しています。
上記のような方々は、自身の内向的な性格から常に「大きなリスク」について考えており、まるで勝ち目のない勝負に出ることはほぼありません。
【大きなリスクの例】
・経済状況が悪化している中、会社に大損害を与えるような無茶な投資
・穴だらけの戦略に基づいて行う事業拡大
もちろん、状況に応じて大きな勝負に出ることもありますが、それらはいずれもリスク許容度の範囲内で行われます。
僕たちの生活に置き換えれば、「借金をせず日々身の丈に合った生活をする」「ギャンブルをはじめとするリターンが見込めないお金儲けに走ることがない」など、一人前の大人としての振る舞いができることと同義といえるでしょう。
内向的で不安に感じやすい方は、「自分は有名な経営者の人たちと同じ性格をしている。だったらそこまで落ち込む必要はないよね」と前向きに考えるようにしてみてください。
慎重に物事を判断できる
一流のビジネスパーソンは、一見外交的で、バリバリ営業活動に励んでいるイメージがありますが、比較的「石橋を叩いて渡る」ような人も珍しくありません。
【リスクが発生するアクションの例】
・新規ビジネスへの着手
・人員増加
・設備の増築
リスクヘッジをせずに行動してしまうと、それが致命的なミスとなり多大な損失を被ってしまうおそれがあります。
この点、内向的な性格の方であれば、常に慎重に考慮してから行動に移すため、無謀なチャレンジをすることはほとんどありません。
外交的な性格の方がやりがちなミスをする可能性が低いので、大事な仕事を任せてもらう可能性が高くなるほか、自分のスキルアップのチャンスも増えることになるでしょう。
不安を感じたときに講じるべき対策
ここからは、不安感に襲われてしまったときの対処法について解説していきます。
【不安感に襲われてしまったときの対処法】
・「真剣に向き合っている証拠」と捉えて行動する
・不安の種に目を向ける
・「執着」を手放す
・細かい作業を行う
自分に合うものがあればぜひ取り組んでみてください。
「真剣に向き合っている証拠」と捉えて行動する
たとえば、現役のプロ野球選手が「どうして自分は料理が下手なんだろう」と悩むことはほとんどないでしょう。
不安に感じるのは、「打率」「レギュラー争いに負けること」「メンタル・フィジカルの状況」など野球に関する事柄で、いずれも真剣に向き合っているからこそ生じる悩みともいえます。
そして、自身の不安感に抗い努力を続ける人たちは、たとえ望むような成果が出ていなくても魅力的に映ります。
【魅力的に感じられる行動の例】
・上司に怒られても切り替えて次の営業先に向かう
・先輩に嫌味を言われても、グッと堪えてアドバイスをもらう
僕自身も、仕事や趣味など何か熱中している方を見るとつい応援してしまいます。
不安に感じながらも、その中で自分にできることを続けていく姿勢が重要だといえるでしょう。
不安の種に目を向ける
「熱中できるものが見つからないんです…」と悩む方も多いですが、このような場合、不安の種となっているものに目を向けてみてはいかがでしょうか。
何か不安に感じたときは、物事に本気で取り組めるチャンスともいえます。
【仕事で不安を感じたとき】
・今の仕事のやり方を見直してみる
・転職活動を始めてみる
・新しい副業を始めてみる
【恋人がいなくて不安に感じているとき】
・新しい趣味を始めてみる
・出会いの場に行く
・好きな人をデートに誘う
【将来のお金について心配な場合】
・今の生活を見直して家計のスリム化を図る
・「お金をかけるところ」「切り詰めても良いところ」をはっきりさせる
・毎月一定額をインデックス投資などに回す
いずれにせよ、自分にとって無理のない範囲で行動するのがポイントですが、場合によっては行動に移すことができず、自分を責めてしまうことも少なくありません。
そのようなときは、うまくいかなかったことや失敗したことに対し、許しを与えて前に進むということを目的に行う認知行動療法の「セルフコンパッション」を実践してみてください。
セルフコンパッションについては、以下の記事で詳しく解説していますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
「執着」を手放す
不安になってしまうのは、その物事に執着しているからともいわれています。
【執着の種の例】
・職場で評価されていないのかな?
・リストラされてしまうんじゃないか…
・旦那に嫌われてしまったかも…
上記のように不安になる方も多いですが、これは執着の裏返しともいえます。
たとえば、「今の会社をあと半年で辞める」と決意している場合、上司からの評価はさほど気にならなくなると思います。
「自分はなぜ不安になるのか?」を突き詰めていくと、次第に自身の「執着の種」が見えてくるのでぜひ考えてみてください。
細かい作業を行う
洋服を買う、タクシーを使うなど、人は1日に約35,000回の意思決定をしているといわれています。
特に不安感が強い人の場合、判断に時間がかかることも多く、これはあまり好ましい状況とはいえません。
しかし、人よりも多くの時間をかける分、細かいところに目を向けられるようになります。
【不安に感じやすい人が多い浮かびやすい考えの例】
・今はセール期間でお得になっているけど、そもそもこの服の定価っていくらだっけ?そこまで安くなっていないのでは?
・給料も高いしスキルアップができそうな会社だけど、離職率ってどうなってるんだろう?
見落としがちなことも気がつくようになるため、細かい作業をしたり、何か大事な決断をする際には、「不安感を強く覚えたとき」が最善とされています。
「すぐに不安になってしまう自分はダメだ…」と落ち込むのではなく、不安感を強く覚えることで生じるメリットに目を向けることで、今後の「生きづらさ」が変わるかもしれません。
不安障害とは
不安の感情は誰しも持っているものですが、過剰に不安になってしまう方は「不安障害」の可能性があるかもしれません。
不安障害とは、日常生活に支障をきたしてしまうほどの不安感に襲われる症状のことを指します。
人によって症状の程度はそれぞれ異なりますが、不安障害の方は、以下のようなケースで強い不安感に襲われます。
【不安感が生じる代表的なシーンの】
・電話に出る
・人前でスピーチをする
・外出する
・人と話す
上記のように「少し緊張するな」と思えるようなことでも、不安障害の方は、冷や汗をかいたり呼吸が浅くなってしまったりするなどの症状のが現れます。
また、吐き気やめまいなどの症状が現れる方も多く、家事や仕事ができなくなるケースも少なくありません。
自分が「不安障害」だと思うときはどうする?
不安障害には主に以下3つの種類があり、これらは不安感に襲われるシーンによって分けらています。
【不安障害の主な種類】
・全般性不安障害
・社会不安障害
・恐怖症
「こんなに不安なのは私だけ…?」「別に大したことない仕事のはずなのに、なぜかいつも不安なんだよな…」などと思っている方は、一度専門のクリニックなどに足を運んでみることをおすすめします。
全般性不安障害
全般性不安障害は、日常生活におけるさまざまな活動に対し、過剰な不安や心配を持つようになる症状です。
たとえば、些細なことに反応してすぐに疲れてしまうなど、日常生活がうまく回らなくなってしまうことが多いです。
一般の方に比べストレスや疲労の程度が大きいため、精神+肉体にも影響が出やすい疾患とされています。
社会不安障害
社会不安障害は、学校や職場での会話で極度の不安と緊張を感じる症状のことを指します。
また、事務作業や買い物など、特に緊張せずできるようなタスクでも強い不安を感じることが多々あります。
場合によっては自宅や自室に引きこもってしまうケースも多く、社会復帰するのに時間がかかることも珍しくありません。
恐怖症
自身の目の前や頭の中に、何かはっきりと存在するものに対して恐怖感を覚える症状を恐怖症と呼びます。
代表的なのは、高層ビルなどの高所が苦手な方を指す「高所恐怖症」や、エスカレーターの中といった閉所が苦手な方を指す「閉所恐怖症」でしょう。
ほかにも以下のような症状もあるので、自分に当てはまっているものがないかチェックしてみると良いでしょう。
【恐怖症の主な種類・内容】
先端恐怖症…針や安全ピンなどの先端に恐怖を覚えてしまう症状
醜形恐怖症…他者には明らかではない自身の欠点、または軽微にしか見えない欠点が、本人にとって重大なコンプレックだと認識し得る身体的欠陥にとらわれてしまう症状
集合体恐怖症…小さな穴や斑点などの集合体に恐怖を感じる
なお、僕は醜形恐怖症と集合体恐怖症の2つを併せ持っています。
そのため、Web上でたびたび出現するニキビの治療広告が非常に苦手で、今はGoogleの設定で出なくなるようにしています。
また、昔仕事で「ハチ駆除業者」「シロアリ駆除業者」などのクライアント様の編集作業を行うことがありました。
この場合、必然的に集合体(ハチの巣や大量のシロアリ)の写真を目にすることになるため、僕にとって非常に嫌な仕事であったことを今でも覚えています。
パニック障害
パニック障害は、特にこれといったきっかけがなく、パニック発作と呼ばれる「動悸」「発汗」「頻脈」「過呼吸」などの症状が突然現れる疾患です。
強い不安感に加え、「このままではヤバい…」と思ってしまうような感覚にも襲われるため、クリニック・精神科への受診が必須とされています。
「今までは特に感じなかったのに変だな…?」と思う方は、念のため信頼できるかかりつけ医に相談することをおすすめします。
不安と上手に付き合おう
今回は、不安のメリットや不安をうまく活用する方法、不安障害の概要などについて解説しました。
・不安を強く感じる方は、ビジネスで成功できる可能性が高い
・不安の種に目を向けることで、本気になれるものを見つけることができるようになる
・慎重な判断・作業ができるほか、怪しい儲け話にも引っかかりづらい
ささいなことに不安に感じる自分を責めてしまう方も多いですが、これは別に悪いことではありません。
僕も不安なことで頭の中がいっぱいになってしまうことが多いのですが、それらをエネルギーに変えて生きていこうと考えているので、一緒に取り組んでいきましょう。
なお、以下の書籍も参考になりますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
ではまた!