真面目にやっているのに成果が出ない、他の人に比べて作業スピードが遅いなど、仕事中上司から注意を受けるADHD・ASDさんも多いのではないでしょうか。
私って社会人としての素質がないの?
叱責や注意の数が増えてしまうと自分の居場所がなくなってしまい、仕事を続けることができなくなってしまうかもしれません。
今回は仕事で空回ってしまうことが多いADHD・ASDさんに向けて、悩みの原因を解説しつつ、具体的な改善方法について解説します。
【ADHD・ASDの悩み①】環境的要因を考える
どんなことでもそつなくこなせる人と、要領が悪くてテキパキと動けない人。
才能や能力に違いがあるのは当たり前ですが、僕は間違いなく後者の方に当てはまり、いつも周りの人から遅れを取りながら働いています。
自分の能力不足は否定できませんが、それ以外にも【環境的な要因】が絡み合って「働きづらさ」を感じることが多いです。
たとえば、「この書類を読みやすいように修正してください」と指示を受けた場合、ADHD・ASDさんは指示の具体的な内容を把握できず、その人なりの「読みやすさ」になるように修正作業を行っていきます。
定型発達の人であれば、その書類の文字数や雰囲気、読み手の年齢や内容から「これくらいでいいだろう」と判断でき、一定のクオリティーで完成させることができます。
一方、発達障害の方は雑にしすぎて注意を受ける、あるいは完璧を求めすぎて延々と修正作業に没頭してしまうなど、自分の評価を下げてしまう行動を取ってしまいます。
・今回は15分くらいで軽く見直すくらいでいいよ
・大事なお客様に見せる書類だから1時間くらいかけてミスなく修正してね
上記のように、指示の内容が具体的であればそれに従って作業できるので、認識の齟齬も生まれません。
生きづらさを感じてしまうのは、自分の能力だけではなく、その場の環境も影響しているといえます。
【ADHD・ASDの悩み②】周囲からの理解を得る
自分の障害を会社側に伝えて働くことをオープン就労、逆に伝えずに働くことをクローズド就労と呼びます。
障害者手帳や病院からの診断書と一緒に伝え、その後の働き方について話し合ってから働く方も少なくありません。
どちらもメリット・デメリットがあり、伝えるかどうかは個人一人ひとりの希望や判断に任せられているのが現状です。
クローズド就労を選んだ場合、当然ながら「他の社員・スタッフ」と同じように扱われることになり、次第に「できない自分」が周囲へ伝わっていくようになります。
最初は許されていても、やがて「使えない奴」というレッテルを貼られ、最終的には居場所を失うようになってしまいます。(ちなみに僕は20代のころリストラされました…)
一方、オープン就労で働く場合、多少の理解は得られますが、ほとんどの場合障害者手帳の用意が必要です。
そのため、グレーゾーンの方はこの就労形態で勤めるのは非常に厳しいとされています。
・活躍したいとか、出世がしたいとかそんな高望みはしていないのに…
・ミスなく毎日を送りたいだけなのに…
周囲の理解のなさ、認識の違いによって自己肯定感は徐々に下がっていきます。
組織の一員として働く以上、だれかと比べられることは避けられませんが、毎日のように叱責されるのは本当につらいことです。
【ADHD・ASD向け】具体的な時短術3選
ここからは、具体的な時短術について解説していきますので、自分に合ったものがあればぜひ試してみてくださいね。
自分なりの設計図を作る
弱い自分を認めてあげるようになりたい、怒られることなく一日を終えたいと考えている方は、「自分なりの設計図」を作ってみてはいかがでしょうか。
先述したように、生きづらさを感じるのは「自分の能力・捉え方」のほか、「外部の環境」にその原因があります。
そのため、自分のことを客観的に分析しつつ、「仕事でつまずいてしまうのは環境にも原因があるんじゃない?」と発想を転換することも重要です。
「この部分は自分で改善できる」「この部分はもう仕方がない」といった形で区別できるだけでも心が軽くなるはずです。
・曖昧な指示を受けたらなるべく細かく質問する
・周りと比べて作業スピードが遅いから時間短縮に意識を置いて作業する
・集中力を維持させるために、あえて休憩時間を増やしてみる
どれも僕が実際に取り組んでいるものですが、悲しいことにこれらはすぐに効果が出るというものではありません。
いくら休憩時間を増やしても集中できないときはできませんし、転職活動もうまくいかないことの方が多いです。
だけど、何もしないよりは精神的に少し楽になりますし、少しずつ成果は出ていくはずです。
また、一度作った設計図は今後もアップデートしていく必要があり、以下のように追加していくのも有効です。
・上司からの評価だけで人生が決まるわけじゃないと書いたメモを目に見えるところに置いておく
・実際に転職活動を始めて【いつでも辞められる準備】を進めていく
・転職活動と同時にフリーランスで働くことも頭に入れて、働く場所は今の会社だけじゃないことを自分に言い聞かせる
仕事が変われば悩みも変わってきますし、そもそも外部環境が変われば悩みそのものが軽くなることもあるので、定期的に見直していきましょう。
メモとペンをポケットに入れておく
職種や業種、タイミングなどによって、どうしても口頭で指示を出されてしまう場面も多くあります。
・文章に残すまでもないちょっとしたこと
・急に発生したクレーム対応
・雑談の中に挟み込まれる進捗確認
ADHDさんは前頭前野の発達が遅れていて、言われたことを頭の中に留めておく「ワーキングメモリ」が不足していることが多いです。
簡単なことなら覚えておくことも可能ですが、内容が複雑で、さらに数が2つ、3つと増えてしまうと太刀打ちできなくなってしまいます。
そのため、仕事中は常にペンとメモ帳を持ち歩くようにしてみてはいかがでしょうか。
口頭での指示が苦手だと上司や先輩に直接伝えてもいいのですが、人によっては躊躇してしまうこともあるでしょう。(僕もなかなか言えません…)
そんなとき、ペンとメモ帳を取り出して言われたことを書き込んでいくと、ケアレスミスの防止が叶うほか、上司や先輩の見る目が変わります。
「仕事熱心だな」「別にそんなメモすることじゃない」など、人によって受け取り方は違うと思いますが、とりあえず「言われたことは必ずメモを取る人」みたいな印象を与えることができます。
いちいちメモを取るので、最初は変な目で見られてしまうかもしれませんが、そこで「すいません、メモをしないと覚えきれないのでメモさせてください!」と言うと、そこまで怒られることもないはずです。
普段からどんなささいなことでもメモを取るようにしていれば、よほどのパワハラ上司ではない限り、「今日はメモ取らなくていいの?」といったように向こうから気を遣ってくれるようになります。
言葉にするのではなく、行動で示す方がより理解してもらえるようになるかもしれません。
文章力を高める
普段文章を書く機会が少ない方は、文章力に自信がないことが多いです。
たくさんの人を魅了するような文章力は不要ですが、最低限、自分が伝えたいことをまとめられる力くらいは身に付けておく必要があります。
僕も文章を書くことが苦手で、書いてあることがよくわからないと人から言われることも少なくありません…
口頭での指示が苦手なのでテキストベースで指示を出してほしいとい方も多いのですが、実際チャット上でのやり取りをすると、案外書けないことも多いのです。
・普通の文章ってこれで合っているんだっけ?
・お客さんに送るメールができたものの、よく読んでみたら破綻している…
上記のようなことで色々と悩んできましたが、このような悩みはやはり実際に書いていくことでしか解消されないと僕は思っています。
ライティング力の向上を謳う本もたくさんあり、以下の本は内容もわかりやすいためおすすめです。
日記を書く、ブログを始めるなど、実際に文章を書いて練習していきましょう。
仕事から離れる
口頭での指示が理解できない、文章も書けないと悩んでいると、次第にメンタルが病んでいきます。
頭の中が仕事のことで埋め尽くされていき、せっかくの休日も仕事のことばかり考えてしまうようになります。
僕も休日に仕事のことを考えてしまうことが多く、せっかくの休日を満喫できないことが少なくありません。
ストレスの影響を受けることでも理解力は低下してしまうので、定期的にリフレッシュさせることが必要になります。
・ランニングやボルダリングなどの有酸素運動
・映画や楽器などの一定時間没頭できる趣味
・マインドフルネス瞑想
文章に触れない、言葉を聞かないだけでも脳の負担は軽くなり、その後に入ってくる指示や言葉が理解できるようになります。
また、ダンスやヨガなどの感覚でできる作業を増やすことでも頭の中がクリアになるので、無理のない範囲で取り組んでみるのをおすすめします。
リフレッシュのやり方についてもっと知りたいと考えている方は、以下の記事で詳しく解説していますので、こちらも併せて読んでみてくださいね。
ADHD・ASDには環境整備と休憩の取り方が大事
今回は仕事で空回ってしまうことが多いADHD・ASDさんに向けて、悩みの原因と悩みの改善方法について書いてみました。
・環境的要因と個人的要因を区別する
・周囲への理解がほとんどないことをきちんと考える
・自分なりの設計図を作って行動に移す
・口頭での指示が苦手ということをメモを取ることでやんわりと伝える
・文章力を高めてなるべくテキストベースでやり取りをする機会を増やす
・仕事から離れて感覚でできる作業や趣味に没頭する
仕事ができないことはそれだけで自己肯定感の低下につながり、やがて生きること自体がつらくなっていきます。
だけど、場合によっては環境に原因があることも多いので、いろいろな視点で物事を捉えながら改善させていきましょう。
また、以下の本も参考になりますので、もしよければこちらも一緒に読んでみてください。
今回もご覧いただきありがとうございました。
それではまた!