メンタルを崩して働けなくなった場合、いったん休職して体調を元に戻す必要があります。
服薬や認知行動療法などのセルフケアを続けて体調が回復した場合、「復職」するかどうか決めるのが一般的です。
しかし、実際に働けるような状態になったとしても、不安や悩みが頭の中をかけめぐり、復職に踏み切れず躊躇してしまう方も少なくありません。
【本記事はこのような悩みを持つ方におすすめ】
・職場に復帰したいけど、うまくいくかどうか不安…
・また体調を崩したらどうしよう…今復職していいのかな?
今回は、休職中に心がけることや、休職を経た後に職場復帰する時期の目安について解説します。
休職後の復帰に不安をお持ちの方だけでなく、退職するかどうか悩んでいる方も参考にしてみてくださいね。
目次
休職中に心がけること
休職中、早期復帰するために心がけることは、主に以下の2つといわれています。
【早期復帰するために心がけること】
・職場のことは「他人事」と考える
・私は「代替可能な存在」ということを忘れずに過ごす
職場のことは「他人事」と考える
休職中、「自分が休んだことで迷惑をかけてしまった」「自分は必要ない存在だ」と自分を責めてしまうこともあるでしょう。
しかし、どんなに優秀な方であったとしても、社員が一人抜けたくらいで会社が傾いてしまうような事態になることはほとんどありません。
自分がいるから会社は回るのではなく、「会社はどんな状況でも回るもの」と捉えておくことが心の安定につながるといえます。
私は「代替可能な存在」ということを忘れずに過ごす
大変恐縮ですが、多くの方は良い意味で「替えが効く存在」にあたります。
これは、職場でエースと呼ばれるような優秀な方でも同様です。
世の中には優秀な方がたくさんいるため、万が一病気で倒れてしまっても、比較的早い段階で代わりの人が補充されます。
【エースと呼ばれる人がいなくなってもさほど心配する必要がない理由】
・いずれ新しい人が補充されるから
・同僚や後輩の成長につながるから
もちろん、当面の間は不安になるかと思います。
しかし、エースの退職によって「自分がやらなきゃ!」と奮起するようになる方も珍しくありません。
結果的に良い結果になることも多いので、過度に職場のことを気にする必要はないのです。
仕事に必要な体力をつける
誤解する方も多いのですが、食事を取るなど生活に必要な体力と、仕事をするための体力は別物です。
細かい計算や社外の人との商談、大勢の前で話すプレゼンなど、どれも多くの精神力・体力を要します。
復職初期に健康な人と同じように仕事をこなすのは非常に困難だといえます。
【休職中に思うことの例】
・日常生活を送れるまで回復したけど、ちゃんと働けるかどうか不安だ…
・業務中、急に体調を崩してしまったらどうしよう…
強い責任感から無理に復職をしてしまう方も多いですが、場合によっては再度休職せざるを得ない状況になってしまうことも多いので注意してくださいね。
なお、休む重要性については以下の記事でも解説していますので、気になる方は一度読んでみてください。
復職する段階になる前に把握しておくべきポイント
復職する段階になる前に、以下のポイントを頭に入れておくと良いでしょう。
【復職する段階になる前に把握しておくべきこと】
・復職の意思決定者は誰なのか
・冷静に判断できるのか
・お試し期間はあるのか
・部署異動は可能か
・自分がこなせる仕事内容・仕事量を任せてもらえるのか
復職の意思決定者は誰なのか
うつ病や適応障害など、何らかの疾患だと判断されると医師の判断を尊重しがちですが、最終的な職場復帰の判断は本人と産業医・産業心理カウンセラー、(常駐している場合)会社側がそれぞれ話し合って決めます。
この話し合いの際に、「復職判定委員会」を設けている会社はそこも含めて決めていきます。
復職判定員会とは、復職するかどうかを決める、幅広い知見を持つ有識者で構成される組織です。
復職には「職業生活能力」が求められる
多くの産業医は、患者さんの生活能力だけでなく「職業生活能力」の回復の度合いも考慮して復職するべきかを判断します。
職業生活能力とは、主に仕事を遂行するうえで重要になる力のことを指します。
復職を検討している方は、以下の項目を確認してみましょう。
【復職の際にチェックすること・されること】
1.一人で安全に通勤できるか
2.会社で必要な時間、勤務できる程度に回復しているか
3.規則正しい睡眠、覚醒のリズムが回復しているか、昼間の眠気はないか
4.業務に必要な作業などが可能か
5.業務による疲労が翌日までに十分回復しているか
6.業務遂行に必要な注意力、集中力が回復しているか
※心の病気の実態と企業のメンタルヘルス対策2008 予防時報 宮城まり子より引用
なお、産業医がいない会社も多いので、そのような場合は担当の医師の判断をもとに上司と話し合って結論を出すようにしましょう。
冷静に判断できるのか
会社の準備体制が整っていない場合、主治医の判断と本人の出社意志だけを鵜呑みにして出社を許してしまうケースも少なくありません。
体調が万全ではない場合、当然再発の可能性が高まるため注意が必要です。
職場復帰の判断は非常に難しく、以下のポイントが満たされているかをチェックしなければなりません。
【職場復帰できるかどうかの判断基準】
・雇用契約に定める労務提供義務を果たせるかどうか
・業務遂行現場の意見や会社側の見解を、医師の判断や意見と照らし合わせながら、本人と会社側の合意を作っていけるかどうか
少々ややこしい表現ですが、大切なのは「本人の体調を優先すること」「どれくらいの業務量ならこなせるかを慎重に考えること」の2点です。
本人と主治医だけでなく、会社側も一緒に復職について考えてくれるようなら安心して復職できますね。
お試し期間はあるのか
復職直後の場合、「試し出勤制度(リハビリ出勤制度)」を利用してやるべき仕事に取り組むのがベストといわれています。
試し出勤制度(リハビリ出勤制度)とは、時短勤務を含めた調整期間のことを指します。
しかし、この制度を導入している会社はごく少数なので、上司や人事、医師やカウンセラーが協力し、臨機応変に復職に向けたプログラムを作ることが重要だといえるでしょう。
部署異動は可能か
仕事量だけが問題だったなら、仕事量を調整してもらったうえで以前の部署に戻るのが懸命です。
しかし、現実には上司との人間関係に悩むケースがほとんどです。
もし対処できないような要因がある場合、部署異動を希望するのもひとつの手です。
自分がこなせる範囲の仕事なのか
たとえリハビリ期間といっても、会社の利益につながる仕事をする必要があります。
業務量を調整してもらいつつ、メンタルに影響の出ない範囲で必要な仕事をこなさなければなりません。
しかし、無理をしてしまうと再び体調を崩し、場合によっては欠勤することになってしまうため注意が必要です。
上司の指示も重要なポイント
また、大きな混乱をしないように、なるべく具体的な指示を出してもらうよう、上司に相談することも重要です。
【仕事をするうえで知りたいこと】
・いつまでに仕上げるのか
・どの範囲までやればいいのか
・この仕事の重要性はどれくらいなのか
・この仕事をやることでどんな人が助かるのか
自分が今やっている仕事の目的・重要性がわかれば、負い目を感じることなく仕事に取り組めるようになります。
また、「まだ本調子じゃないけど、ちゃんと役に立っているんだ!」と思えれば、モチベーションが高まり生産性も上がるようになるでしょう。
なお、体調を崩した後の働き方については以下の記事でも解説していますので、興味をお持ちの方はぜひ参考にしてみてください。
休職後の復職は焦らずに
今回は、休職中に心がけることや、休職を経た後に職場復帰する時期の目安について解説しました。
・休職中は仕事のことを考えず、自分の代わりはいくらでもいると頭にインプットする
・職場復帰の意思決定はあくまで自分と上司の話し合いで決まる、
・誰か一人の意見だけを優先させない
・お試し期間を設けて、自己肯定感を高める
自分の代わりは悲しいくらいにいくらでもいます。
僕はそのことがわかっていなかったせいで適応障害になってしまいました。
真面目に頑張ることは大切ですが、自分を壊してまで行う仕事はありません。
自分自身をメンテナンスしていき、厳しい世の中を一緒に生き抜いていきましょう。
また、こちらの本も参考になるのでよければチェックしてみてください。
今回もご覧いただきありがとうございました。
それではまた!