仕事のミスは「甘え」?発達障害の方が自分を責めてはいけない理由

ミスをしたこと、あるいは休むことに対し、「お前が甘えているからだろ」と一言で片づける上司は決して少なくありません。

 

しかし、発達障害のADHD・ASDといった傾向が見られる方は、脳の特徴からミスの頻度が多くなるため、単なる「甘え」ではないことが大半です。

 

そこで今回は、甘えと決めつけてしまう具体的な理由や、甘えかどうかの判断基準について解説します。

 

また、自分のことを責めてしまう「自責グセ」の対処法もご紹介しますので、お困りの方は参考にしてみてくださいね。

なぜ「甘え」という言葉が使われてしまうのか

遅刻や欠勤、ミスやトラブルなど、「本人の甘え」を理由にして責められることは多々あり、仕事上のさまざまなシーンでよく見受けられます。

 

しかし、社会に出れば、ほとんどの人が責任を持って仕事に取り組みますし、「別に遅刻をしても良いでしょ?」など甘えた考えを持って仕事をする人もほぼいません。

 

そもそも「甘え」とはいったいどんなものなのか、具体的な定義も決められてはおらず、説教やマウントをする人の「思考力の低さ」をカバーするために使われているのが現状です。

 

「甘え」以外に用いられる言葉

甘えを理由に責めてくるのは、おおよそ叱る側の常識や価値観が関係しているとされています。

 

自己管理ができていない

遅刻や体調不良などで会社の人に迷惑をかけてしまった際、「自己管理ができていない」といわれてしまうケースも少なくありません。

 

たしかに自己管理がおそろかになっていたのかもしれませんが、その裏には自分以外の要因もあると考えるのがスマートです。

 

・オフィスが騒々しいなど、集中できない環境で仕事をしているため疲弊している

・上司からの無茶な残業命令が続き、睡眠時間が確保できていない

・家庭のトラブルが続き、多くのストレスを抱えている

 

どれを見ても「甘え」とはいえず、むしろ普段以上に頑張っている状態です。

 

社会人として恥ずかしくないの?

「社会人として恥ずかしくないの?」もよく使われている説教ワードです。

 

これには以下のようなバリエーションがあり、状況に合わせて使い分けることが可能です。

 

・遅刻するなんて、社会人としての自覚が足りないんじゃない?

・社会人なんだからもっとシャキッとしろよ!

 

「実際に言われたことがある…」と悩む方も多いかと思いますが、「社会人」という言葉は少々抽象的で、人によって捉え方が大きく異なります。

 

新卒の方も社会人に該当しますが、40〜50代の方と比べると、まだまだ子どものようなものであり、当然経験値や価値観も違ってきます。

 

すべて「社会人」という括りで見てしまうと、スタッフ一人ひとりの考え方を無視してしまうことになり、余計な反感を買ってしまうため注意が必要です。

 

「甘え」で片づける上司や先輩と一緒に働く際に押さえておくべきポイント

悲しいことに、多くの会社には「甘え」を理由に責めてくる上司や先輩が一定数います。

 

そのような人のもとで働く場合、多くのストレスを抱えながら仕事をすることになるかもしれません。

 

僕自身、約6年ほど情緒不安定なパワハラ上司と一緒に仕事をしてきましたが、「甘えてんじゃねえよ!」と詰められたことは一度や二度ではありません。

 

以下のポイントを押さえたうえで仕事に取り組み、大事なメンタルを守りましょう。

 

甘えているのは「上司本人」であることを知る

実際に詰められると委縮して思考が止まり、「やっぱり自分は甘えているのでは?」と強制的に思い込んでしまうことも少なくありません。

 

・この上司に逆らってはいけないな…

・今まで以上に頑張らないといけないよね…

 

自分を追い詰める「自責グセ」がついてしまう原因にもなるので、「甘え」を理由に責めてくる上司とはなるべく距離を置く必要があります。

 

また、「甘え」という言葉を使って攻撃してくる人の方が実際に「甘え」ていることが多いです。

 

・こいつなら何も言い返さないだろう

・俺の方が偉いからこれくらい言って当たり前

 

上記のような偏った思考を持っているからこそ、何も言わず無抵抗な人にひどい言葉を吐けるのかもしれません。

 

「アダルトチルドレン」の可能性がある

パワハラを繰り返す上司は、まるで子どものようひどい言葉を吐き続けます。

 

もしかしたらアダルトチルドレンの可能性もあり、これを改善させるには正しいやり方で根気よく治療を続けていかなければなりません。

 

アダルトチルドレンとは

アダルトチルドレンは、幼少期に親の愛情を受けられなかった大人を指す言葉です。

 

主に、「機能不全家族(ストレスが日常的に存在している家族状態)」のもとで育つとアダルトチルドレンになる可能性が高いとされています。

 

【機能不全家族の主な特徴】

・親が子どもに満足な教育を受けさせない

・子どもに関心を持たない、または過度な期待を持っている

・ネグレクトが常態化している

 

アダルトチルドレンの方は、幼少期のトラウマから過度な不安や恐怖を常に抱いており、それらから発生した「間違った正義感」を自分よりも立場の弱い人に押し付けてしまう傾向にあります。

 

・お前のために言っているんだ!

・本当にお前は役に立たないな!

 

上記のような言葉は、いずれも過度な不安や恐怖心から生じているとされています。

 

アダルトチルドレンの部下や後輩の方が「大人」である

たしかにアダルトチルドレンの人も大変な経験をしているのですが、アダルトチルドレンの部下としてパワハラに耐えている人の方がよっぽどつらい状況といえます。

 

「甘え」と責められて悩んでいる人はむしろ頑張り屋さんで、優しい心の持ち主の人がほとんどです。

 

特にADHD・ASDの方は、自分の欠点を改善させようと、以下のようなさまざまな努力を行います。

 

・苦手な電話対応の流れを何度も復習し、ロープレして体に覚えさせる

・提出物の誤字脱字がないかどうか何度もチェックする

・遅刻しないようにGoogleカレンダーに予定を入れて、リマインド機能によって忘れ物や遅刻を防ぐ

 

定型発達の方から見ればたしかに甘えているように見えるのかもしれませんが、それは大きな誤解です。

 

偏った価値観を押し付けてくるような先輩・上司とは距離を取り、自分のことを大事にしてあげましょう。

 

なお、自分を許し与えるには認知行動療法のひとつである「セルフコンパッション」が有効です。

 

以下の記事で解説していますので、気になる方は一度ご覧になってくださいね。

 

【仕事・人間関係改善】過度に自分を責めないようになるセルフコンパッションとは?

 

甘えていると悩む人こそ報われる社会へ

今回は、上司や先輩から「お前は甘い!」と言われて悩んでいる方に向けて、甘いと言って責めてくる具体的な理由や、パワハラ上司・先輩と働くうえで意識すべきポイントについて解説しました。

 

・体調や環境、発達障害の傾向など、「甘え」の一言だけでは片づけられない要素が絡み合ってミスやトラブルは発生する

・「甘え」を理由に責めてくる人の方が甘えていることを知る

 

僕自身、甘えを理由に責めてくる上司や先輩の存在に日々悩んでおり、自分を労わりながら日々働いています。

 

自分のことを守れるのは自分だけです。

 

メンタルを病まないためにも、自分自身に優しい言葉をかけて適切に対処していきましょう。

 

また、こちらの本も参考になりますので、よければチェックしてみてください。


 


 

今回もご覧いただきありがとうございました。

 

それではまた!

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