不安な気持ちに押しつぶされて、目の前にあるやるべきことに集中できないと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
仕事のことだけでも精一杯なのに、プライベートの人間関係や健康面、恋愛や結婚、両親との同居など、不安になる要素は挙げればきりがありません。
そのようなときに有効なのがACTで、これを実践すればときおり襲われるネガティブな感情もコントロールできます。
いつも仕事のことばかり気になってしまって休めない…
自分を責めるクセを直したい…
今回は不安な気持ちをコントロールするACTについて書いていきますので、お悩みの方は参考にしてみてくださいね。
目次
ACTの考え方
ACTとは瞑想とマインドフルネスをベースにした認知行動療法のひとつで、自分の心をうまくコントロールするために使われます。
心理的柔軟性を効果があり、抑うつ状態や不安神経症、心配性や慢性痛などさまざまな症状・疾患に効果があるとされています。
心理的柔軟性とは「しなやかな心」とも呼ばれており、これが高まることで視野が広がり、極端な思考になることを防ぎます。
また、ACTでは自分の感情ではなく行動をコントロールすることに重きをおいています。
不安な気持ちは変えられないけど、今から取る行動は変えられます。
行動が変わることで、不安な気持ちが徐々にやわらいでいくといったメカニズムになります。
ACTで幸せを求めることはしない
人間、誰しも「幸せになりたい」という願望を持っています。
仕事や人間関係、お金や住まいなど、さまざまな面で幸せになろうと努めている方も多いのではないでしょうか。
また、貴重な時間やお金を使って「理想の自分」になるために勉強や美容などに力を入れている方も少なくありません。
しかし、幸せになろうと行動すればするほど幸せからは遠のき、かえって不幸になるということも最近の研究で明らかになっています。
また、幸せになれないのは「自分の努力が足りない、自分に欠点があるからだ」と思う方もいるかもしれませんが、これもACTでは否定されています。
自分に足りないものを探すこと自体は良いのですが、幸せには「ネガティブな感情」も必要です。
今の自分に満足していれば「別に努力しなくてもいいかな…」ってなってしまいますからね。
不安な気持ちや弱点も含めて自分のネガティブな面と向き合い、正しい行動を続けていくのがACTの基本です。
ACTでも不安な気持ち自体を消し去ることはできない
人は不安な気持ちに襲われたとき、「ネガティブなものから逃げる逃走戦略」「ネガティブなものをねじ伏せる闘争戦略」の2つからどちらかを選んで行動します。
小さなネガティブならどちらを選んでも解決できますが、大きなネガティブ、長期的なネガティブの場合はどちらを選んでもうまくいきません。
たとえばダイエットの場合、1キロくらいなら短期間の減量でも結果は出るかと思います。
一方、体重80キロの方が50キロまで減量する場合、今の現状から逃げていてはいつまでたっても変わりません。
ダイエットからには、1~2年ほどのスパンで続ける必要があります。
ネガティブな感情があって当たり前
僕も多くのネガティブな感情や改善したいものを持っていますが、それらをすべて取り除こうと思うことはありません。(少しでも減ったらいいな~とは思います笑)
不安な気持ちをコントロールしようとあらがうのも疲れるだけですし、すぐにネガティブ感情が襲ってきます。
最終的に、無力感しか残らなくなってしまいます。
経験回避の状態に注意
このような状態を経験回避と呼びますが、この状態に陥っていないかチェックするために、自分が持っている取り除きたい思考や感情を紙に書き出してみましょう。
・仕事でミスをしてしまって生まれる自責の念
・上司から怒られたくないという気持ち
・仕事を干されること
・使えないやつだと思われること
僕の場合、上記のような取り除きたい思考、考え方を持っていますが、経験回避の状態に陥っていないかどうかチェックするには以下の質問に答える必要があります。
①長期的にネガティブな思考や感情を消し去ることができたか?
②犠牲になったもの、使われたものはなにか?
③人生が豊かで意味のあるものになったのか?
たとえば「ミスをしてしまうことで生まれる自責の念」を取り除きたい、コントロールしたいと考えている場合を見ていきましょう。
①の質問の答え→「NO」で、今でも自分を責めてしまうクセはなくなっていないし、コントロールしようとしても再び責めてしまう
②の質問の答え→「自分を立ち直らせるまでに無駄になってしまった時間」「ストレスから逃れるために浪費してしまったお金」など
③の答え→「NO」で、単に悩むだけで終わるほか、特に人生に良い影響を与えたとは思えない
このように、ネガティブな感情を消したい、コントロールしたいと思っても、特に良いことがないということがわかるでしょう。
ネガティブな気持ちをコントロールするよりも、自分を成長させるために必要な行動を取っていくことのほうが大事です。
苦痛を自分自身の外に出すのは相当の時間がかかるので、不安な気持ちを無理に消そうとするのではなく、上手に付き合っていく感覚でやり過ごしていきましょう。
日々の仕事・生活で役立つACTの基本を押さえよう
今回は不安な気持ちをコントロールするACTについて書いてみました。
・ACTはネガティブな思考を消すものではなく「やり過ごす」もの
・幸せを求めないほうが幸せに近づく
・不安な気持ちを消し去るのではなく向き合うことが大事
仕事に打ち込む、ボランティアに励むなど、ネガティブな気持ちを打ち消すために別のことに注力する方も多いのですが、ネガティブな気持ちに向き合わないことも重要です。
ネガティブな気持ちと向き合うことができなければ、いつかまた劣等感や罪悪感に苛まれてしまうかもしれません。
「幸福の罠」ともいわれているので、自分のネガティブに向き合っていきましょう。
また、以下の本により詳しいことが掲載されていますので、もし興味があれば一度ご覧になってくださいね。
最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました。
それではまた!