部下や後輩の指導に携わることも多い30代は、「このまま仕事ばかり続けていてもいいのかな?」という悩みを持ちやすいとされています。
「別に大したことじゃない」と目を背けてしまうか、それともきちんと向き合って自分なりの正解を導き出すかで今後の人生が変わってきます。
【本記事はこのような悩みを持つ方におすすめ】
・結婚をして子どもを持ちたい!でも仕事を辞めるのは嫌だな…
・このままずっと仕事だけを続けていっていいのかな…
今回は、今後のキャリアについて悩みやすい30代の方に向けて、人生設計を考えるうえで大事な要素となる「ライフキャリア」の概要や、ライフキャリアの考え方について解説します。
目次
ライフキャリアとは?
ライフキャリアは、日々の仕事におけるキャリアに加え、家庭・趣味・地域活動などさまざまな関わりの中で得た経験全般のことを指す言葉です。
このライフキャリアは、外的要因(社会・経済・組織)と内的環境(自己意識・価値観・能力)の2つの相互作用によって形成されていくといわれています。
外的環境とは?
社会で生きていくためには、通常何らかの仕事をして一定の収入を得る必要があります。
この仕事をするうえで重要になるのが「外的環境」です。
【外的環境の具体例】
・日本や世界全体の経済状況
・自分が住んでいる地域の雇用状況
・少子高齢化の影響
特に就活や転職は、そのときの経済状況で難易度が大きく変わります。
僕の場合、当時世間で大きくニュースに取り上げられていた「リーマンショック」の影響が根強く残っていてなかなか大変でした…
また、少子高齢化の影響により、今ではおよそ4人に1人が65歳以上が高齢者という高齢化社会になっています。
働く人達の数が減り、税金も上がるため、より綿密に今後のキャリアを組み立てていく必要があるといえるでしょう。
内的環境とは?
自分のキャリアを考える際、先述した外的環境に加え「内的環境」も押さえておかなければなりません。
【内的環境を形成する要素】
・自己意識
・価値観
・能力
自己意識は、文字通り自分の意識のことで、年を重ねるにつれ徐々に変化していきます。
また、価値観や能力も同様に時間と共に変わっていきます。
そのため、定期的に自分のことを振り返り「今私はどんな価値観を持ってどのような能力を持っているのか」をチェックすることが、ライフキャリアを考えるうえで重要になるといえるでしょう。
ライフキャリアを考えるうえで重要になるポイント
ライフキャリアを考えるうえで重要になるポイントは、主に以下の3つです。
【ライフキャリアを考えるうえで重要になるポイント】
・自分の欲求を把握する
・自分が理想をする未来を描いてみる
・人生の中で注意すべき時期について把握しておく
・キャリアドリフトに注意する
時間がかかっても構いませんので、じっくりと考えたうえで自分のライフキャリアを作ってみてください。
自分の欲求を把握する
特に真面目な発達障害の方は、「私は普段ただでさえみんなに迷惑をかけている…遊んでないと仕事をしないと!」などと、つい自分を追い詰めてしまう「自責グセ」を持っていることが珍しくありません。
責任感を持って仕事に取り組むことは大事ですが、やみくもに仕事をしていると、理想のキャリアから遠のくおそれがあります。
有名な心理学者であるアブラハム・H・マズローは、「マズローの欲求5段階説」を発表し、人間は本能的に5段階の欲求を持っていると唱えました。
【5段階の欲求の内容】
①生理的欲求→睡眠や食事、トイレなどの生命を維持するために必要な欲求
②安全の欲求→命の危険が少ない環境に身を置きたいという欲求
③帰属の欲求→友達や恋人、家族や組織などさまざまな他者と関わりたいという欲求
④尊重の欲求→自分を価値ある存在として認めてほしいという欲求
⑤自己実現の欲求→自分の能力を発揮して成長したいという欲求
基本的にはピラミッドのように①が土台となり、②〜⑤と順に叶えていくのが一般的です。
しかしブラック企業に勤めている場合、④は満たされるかもしれませんが、大事な①や②がおろそかになり、やがて心身を壊してしまうようなことになりかねません。
自分にとって居心地が良い環境にするためにも、より「具体的な目標」を立てて行動する必要があるといえます。
自分が理想をする未来を描いてみる
家族の中では「夫」や「妻」、会社では「マネージャー」や「部下」、子どもが通う学校では「◯◯ちゃんのママ・パパ」など、人は環境によって果たす役割が変わるのが通常です。
これは年齢によって変化していくものであり、どんな人でも「ずっと今のまま」ということはほぼありません。
このように、人は複数の「ライフロール(役割)」を持っていると唱えたのが、アメリカのキャリア論者であるドナルド・E・スーパーです。
【ドナルド・E・スーパーが唱えた5つのライフロールの内容】
・成長段階(0〜14歳)
・探索段階(15〜24歳)
・確率段階(25〜44歳)
・維持段階(45〜65歳)
・下降段階(66歳以降)
ドナルド・E・スーパーは、人の人生を上記5つの段階に分類し、これを人生のマキシサイクルと呼びました。
さらにそれぞれの段階では、「新成長→新探索→新確立」というミニサイクルが循環し、大きなサイクルと同時進行で進んでいくと考えられています。
ほかにも、ドナルド・E・スーパーは主なライフロールとして、以下の4つを挙げています
【ドナルド・E・スーパーが提唱する主なライフロール】
・社会人
・配偶者
・学生
・余暇人
人はさまざまな役割を同時に演じていて、それらに注ぐエネルギー比重が変わるといわれています。
ライフキャリアを考える際は、自身のライフロールも考えて設定した方が良いといえるでしょう。
人生の中で注意すべき時期について把握しておく
先ほど挙げたライフロールの中にある、人生半ばの過渡期のことを指す40歳前後の時期を「中年の危機」と呼びます。
これにより、自分の自己認識や自信が大きく揺り動かされ、「今までのやり方ではダメだ!」と思い悩んでしまうことも少なくありません。
また、中年の危機以外にも注意すべきタイミングが複数あります。
【人生の中で注意すべき主な時期】
・成人過渡期(17〜22歳未満)
・大人の世界に入る時期(22〜28歳未満)
・30歳の過渡期(28〜33未満)
社会人になってからは、常に何らかの危機の中にいるといっても過言ではないため、ライフキャリアと作る際には自身の年齢に応じた対処法も併せて考えておくようにしましょう。
キャリアドリフトに注意する
多くの方は、おおよそ18〜22歳ごろに学校を卒業し、就職して一定期間その組織に馴染もうとさまざまな努力をします。
30歳前後になれば、ある程度社会人としての生活にも慣れ、その後は「自分の存在意義」といったものを模索し始めていき、出世・転職・独立などを考えるようになることが多いです。
しかし、安易な方向転換は「キャリアドリフト(世の中に風潮に流されるようにキャリアチェンジすること)」につながりかねません。
【キャリアドリフトを防ぐ方法】
・自分にとって「働く」ことの意味を深く考える
・世間の常識に縛られずに「自分がやりたいこと」を模索する
自分と向き合う作業は比較的つらいものですが、自分の気持ちを紙に書き出し、今後のライフキャリアについて考えてみてはいかがでしょうか。
なお、自分の気持ちを紙に書き出すことを「エクスプレッシブライティング」と呼びます。
こちらはストレス対策としても有効であり、それについては以下の記事で解説していますので、気になる方はぜひご覧になってみてください。
ライフキャリアを作って今のモヤモヤした気持ちを整理しよう
今回は、「仕事だけの人生にはしたくない」「より充実した人生を送りたい」と考えている方に向けて、ライフキャリアの重要性、具体的な作り方などをご紹介しました。
・社会の状況を考えて、焦らず慎重に現実的なプランをいくつか考えていく
・生理的安全性を第一に、自分の満たしたい欲求のレベルを上げていく
・年齢によって発生するさまざまな危機を想定し、理想のライフキャリアを描いてみる
経済状況が不安定の中、焦る気持ちだけが大きくなり、仕事だけの人生になってしまうような状況に陥る方も少なくありません。
僕自身も、「自分の人生を会社のためだけに捧げる」といった考え方には違和感を覚えます。
日々の生活をより豊かにするためにも、生理的欲求・安全の欲求を満たせるような仕事に就き、自分にとって理想をする人生に近づいていきましょう。
また、こちらの本も参考になりますので、よければチェックしてみてくださいね。
今回もご覧いただきありがとうございました。
それではまた!